オープン戦も始まり、各球団の偵察スコアラーたちはライバルチームの外国人選手のデータ収集に奔走している。厳密に言えば、キャンプインと同時に新加入選手の分析は始まっている。オープン戦ではデータ補充のため、色々なコースに投げ分け、様子見をしていると言ったほうが正しいかもしれない。
「この時期、外国人選手の打撃成績は信用できません。たとえホームランが出ても、対戦チームが故意に打たせているようなものなので。しかし、フリー打撃を見ただけでホンモノだと全球団が警戒した選手がいます。オリックスのアダム・ジョーンズですよ」(在京球団スタッフ)
メジャー通算282本塁打の実績はもちろんだが、他球団スコアラーが「日本でも活躍する」と思えたのは、技術面だけではない。
「例えば吉田正尚はフリー打撃でフルスイングをし、柵越えを連発させており、それが吉田正の長所でもあるのですが、ジョーンズの場合はミート中心。バットが内側から出てきて、コンパクトにスイングしていましたね」(前出・在京球団スタッフ)
しかも、打撃練習では素手でスイングしていた。“感触”を大切にしているからで、ジャストミートした後は、打球の方向を見ようともしない。自分のペースを持っているようだ。
「オリックスの野手陣で食事会が催されたのですが、そこでジョーンズは質問攻めにあい、打撃に関するアドバイスを惜しみなく伝えていたそうですよ」(球界関係者)
また、ティー打撃を終えると裏方スタッフに混じって率先してボール拾いをするなど、チーム内での好感度もバツグンだ。
「新外国人選手が加わるとまず食事会をするのは近鉄バファローズ時代からの流れで、孤立させてはいけないという配慮。このおもてなしがジョーンズのヤル気にも拍車を掛けているようです」(スポーツ紙記者)
西村徳文監督曰く「打席に入った時の雰囲気はすごいものがある」と大絶賛のジョーンズが期待通りの活躍をすれば、オリックスが台風の目になるかもしれない。