新しい「葬式とお墓」徹底ガイド(2)納骨堂は形態で大別すると5種類

 葬儀同様に激変しているのが現代の埋葬事情。金銭問題、少子化で跡継ぎがいない、故郷を離れたり高齢でお参りに行けない、などの理由で墓を維持することが難しくなった結果、先祖代々の墓から遺骨を取り出し更地にして戻す「墓じまい」が2年ほど前から急増しているのだ。

「墓じまい」後の遺骨は新たに設けた墓に移されるか、あるいは他の方法で供養されることとなる。ではいったい「新たな墓」「他の方法」とは何か。いや、報道などではよく墓不足と言われているはずだが‥‥。吉川氏は次のように答えた。

「お墓自体の数は多く、郊外や地方ではむしろ、売れ残っています。不足というのは自分のニーズに合った場所やシステムのお墓が見つからないということですね。例えば、みんなが欲しがる利便性のよい都心の墓地だと、墓地にかける平均総額と言われる200万円を超えてしまう」

 顧客の要望をかなえるため、墓地の切り売りも行われてはいる。しかし面積が0.2㎡(およそ45センチ四方)以下などと狭すぎて、普通の大きさの骨壺は収められず、小さなものに移し替えて収納することになったりする。まるで現代の住宅事情のような光景だが、そこで今、新たに脚光を浴びているのが、室内式の「納骨堂」。一般的な墓地とは違い、ビルの中にあったりもするが、吉川氏が続けて、その特徴に触れる。

「運営母体は民営、公営、寺院と分かれますが、規模も雰囲気もさまざまで、自分が求めるイメージの墓選びがしやすいですね。立地などの条件で30万~150万円と値段の幅はありますが、夫婦だけとか、継ぐことを前提としないおひとりさま用の墓も買える。管理しなくていいというのもメリットです」

 納骨堂を形態で大別すると、5種類に分けられる。まず、扉を開けると中に骨壺が入っている「ロッカー式」。さながらコインロッカーのような具合である。

 次に、扉のない区分けされた棚に骨壺が並べられている「棚式」。3つめは専用カードを通してタッチパネル操作で遺骨が自動的に目の前に運ばれてくる「自動搬送式」。さらに、仏壇が並んでいる形態で、下部に遺骨が収められている「仏壇式」。そして最後が、屋内にお墓が建ったタイプの「墓石式」だ。後者の2つはそれぞれの個別スペースの前でお参りができるが、その他は専用の参拝スペースで行うことが多い。

「今、最も増えているのが自動搬送式で、特に都市部ではとても注目されています。ひとつのスペースを効率よく使って何千単位の遺骨を安置できるので立地のいい場所にあることが多く、合同の参拝スペースでせかされることもないので、ゆっくりとお参りができます」(吉川氏)

 納骨堂という言葉からは想像できない、パステルカラーで構成されたロマンチックなデザインのものや、ハイテクを駆使して虹色に光り輝く「LED仏」を壁面に何千体と並べ、きらびやかで幻想的な空間を演出するものもあるなど、人気獲得の競争も激しい。

 さらに墓継ぎ問題のひとつの解決法となっているのが、家や血縁にこだわらず複数の他人と一緒に埋葬される「合同墓」。昔のような無縁仏の行き場所というマイナスイメージではなく、生前から積極的に終の棲家として買いたいという人が増えているという。つまりは墓の共用だが、墓石いらずでコストダウンもかない、無縁墓になる心配からも解放される利点があるのだ。

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