あとは清原頼み?「現役ドラフト」導入ならトライアウト再起は益々困難に

 12球団合同トライアウトの前日の11日、日本野球機構(NPB)による実行委員会が行われ、「現役ドラフト」に関する素案が各球団に提示された。これは、かねてから選手会が導入を求めていたもので、出場機会に恵まれない中堅、若手選手をドラフト形式で移籍させ、チャンスを拡大させたいという。
 
「メジャーリーグ、韓国プロ野球でもこの制度はすでに導入されています。球団サイドからすれば、せっかく育て上げた若手を奪われる危険性もありますが、選手会に押し切られたという形です」(スポーツ紙記者)

 二軍でくすぶっている選手にとっては朗報だが、彼らにスポットライトが当たるようになれば、トライアウト受験選手たちが再起する可能性は低くなる。トライアウト制度も選手会が呼び掛けて実現したものだが、拾われた先で活躍できた選手は決して多くない。

「オフの各球団の補強は、ドラフト会議に始まって、フリーエージェント、外国人選手、トレードの順番。残念ながら、トライアウトはいちばん最後。予定していた補強に懸念が出たときに、球団は受験者のリストを確認します」(プロ野球解説者)

 そのトライアウト受験者のリストを見る前に、現役ドラフトが加われば、再起のチャンスはますます低くなるだろう。

「トライアウト会場で最も熱心に見ているのは、国内独立リーグのスタッフです。元プロ野球選手のスタッフもいて、彼らは顔見知りの後輩たちを心配し、声を掛けています。『ウチに来てほしいけど、いちばん最後でいいから』と言って…」(取材記者)

 こうした現状を聞かされると、メジャーリーグへの挑戦を謳った清原和博氏の「ワールドトライアウト」にシフトする選手も増えそうだ。チャンスを待つ二軍選手が先か、それとも、戦力外通告組の救済措置を優先か…。選手会の新たな制度導入も大切だが、全員を救済することはできない。清原氏に救済を求める切実な声が聞こえてきそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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