日本オリンピック委員会(JOC)が元五輪相・橋本聖子氏を新会長に選出した。これが波紋を呼んでいる。
「JOCは1989年、モスクワ五輪ボイコットの反省から、国の思惑に左右されないよう、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)から分離しました。政治からの独立を掲げてスタートした日本スポーツ界の組織のはずでした」(JOC担当記者)
それが今回、現役参議院議員である橋本氏が、JOC史上初の女性会長として選ばれた。橋本氏は「どちらの業務もやり遂げたい」と語り、政治とスポーツの“二刀流”で任期2年を全うする所存だ。
そもそも今回のJOC会長改選は、ケガで休養中だった山下泰裕前会長の任期満了に伴い行われた。これまで新会長は、新たに選ばれた理事よる互選で選出されてきたが、今回初めて新理事による投票で決まったという。
当初は山下前会長と同郷で、その体制を支えてきた日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三名誉会長が、事実上内定していたとされる。
「JFAでも田嶋さんを送り出す準備はしていた」(サッカー担当記者)
ところが、橋本氏が就任に向けて意欲を示したことから、橋本氏と田嶋氏が自薦、日本バスケットボール協会の三屋裕子会長が他薦で立候補する形となり、JOC史上初となる選挙による「会長」誕生となった。
田嶋氏は「橋本新会長をしっかりバックアップしていきます」と笑顔で語ったが、3者の得票数は非公開とされ、選挙は行われたものの密室で決まった印象はぬぐえない。
一方、橋本新会長は、自民党の「裏金問題」で2057万円の不記載があったと指摘されている。橋本氏は「曇りがあれば立候補していない」とこの日行われた理事会で説明したことを明かした。
「再び日本で五輪開催を準備していくことが使命」と話したが、常に硬い表情のままだった。
(小田龍司)