1月の大統領再任後、各国との関税を次々と引き上げている米国のトランプ大統領。株価や為替にも影響を及ぼし、世界経済にも混乱が生じているが、今度は映画界が標的に。5月4日、米国外で製作されるすべての映画に100%の関税を課すと自身のSNSで表明したのだ。
実は、映画の都ハリウッドはかつての勢いを失い、衰退期に入ったとも囁かれている。大統領は投稿で《米国で再び映画を作りたい!》と述べており、この関税措置が自国の映画産業の復権の足がかりになると思いきや、そんなに甘い話ではないらしい。
「劇場公開やネット配信を問わず、近年の米国製作の映画・ドラマは、国外のスタジオで撮影された作品が少なくありません。つまり、ハリウッドの映画産業をさらに窮地に追い込む可能性があるのです」(映画ライター)
23日から公開される「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」は、過去シリーズの作品も含め、撮影は世界各地で行われている。また、ネット配信作品として昨年世界中で大ヒットした真田広之主演の「SHOGUN 将軍」も製作国は米国だが、撮影の多くはカナダで行われている。
この他、英国をはじめとする欧州、オーストラリアやニュージーランドで撮影した作品も多い。いずれも税制面の優遇措置、人件費などにおいて米国よりも撮影コストが抑えられるからだ。
「例えば、北米では現在バンクーバーがハリウッドに変わる映画産業の中心として台頭しています。カナダ政府や州政府が手厚い支援を行った結果ですが、関税が導入されてしまうと撮影コストの削減というメリットが完全に失われてしまいます」(同)
現在、米国政府とハリウッドの製作会社幹部との間で協議が進められているとの報道もあるが、もし海外スタジオではなく米国内で撮影すれば、その分コストは余計にかかる。総製作費が高くなれば採算ラインは上がるため、制作側にとってはリスクが大きくなる。
本当に自国の映画産業復活のためが目的であれば、トランプ大統領の打ち出した関税100%は逆効果になってしまいそうな気がするが…。