日本の外交においてもっとも重要な米国との関係。両国の間には日米安保条約があり、基地をはじめとする130カ所以上の米軍施設が国内に存在する。それは日本を含む、極東地域の安全を担っているという一面もある。
だが、トランプ大統領は3月6日に行われたホワイトハウスでの会見で「我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守る必要がない」とコメント。この発言が波紋を呼んでいる。
前回の大統領就任中から政策に関わる内容でも軽口を叩くことが多く、けん制的な意味合いとも受け取れるが、一方で行動力の早さには定評がある。1月の再就任後は、同じNATOに加盟するEU諸国との対立が深刻化。同時にロシアと急接近するなどバイデン政権の時とはまったく違う様相を呈している。
「米国はこれまで“世界の警察”としての役割を担ってきましたが、トランプ大統領にとっては過去のこと。『今は違う』と述べていますし、国外に展開する米軍の活動を縮小する意向を示しています」(軍事ジャーナリスト)
実際、7日配信の英紙「デーリー・テレグラフ」は、約3万5000人の在独米軍の撤退、ならびにトランプ、プーチンの両首脳と親しいオルバン首相が国家元首を務めるハンガリーへの配置転換を検討中だと報じている。
「在独米軍は日本に次いで多く、EU圏では最大規模です。在日米軍でも大幅な縮小の話が出ても不思議ではありません」(同)
特に沖縄本島では米軍基地が面積の15%を占めており、地元では昔から撤退・縮小を求めている。しかし、極東地域における米軍が大幅に縮小されてしまうと、今度は中国・ロシアという新たな脅威に晒されることに。
「そうなれば、中国の台湾侵攻はいよいよ現実味を帯びてきます。日本も北海道はサハリン、北方領土から近く、ロシアとの緊張感は増す。また韓国も、在韓米軍が撤退すれば北朝鮮が軍事行動を起こす可能性もあるでしょう。つまり、米国の方針次第では、東アジアが中東のような“世界の火薬庫”に豹変する可能性もゼロではないのです」(同)
さすがにそこまでは想像がつかないが、ウクライナにしても専門家以外で今の状況を予測できた人は少ない。今のところ、日本の平和は守られているが、5年後、10年後も同じとは限らないのだ。