維新が押す「高校無償化」で「パーカー制服公立校」が増えるって?

 国会の予算審議が山場となっている。そこで大きなポイントとなっているのが、国民民主党が主張する「103万円の壁」と、日本維新の会が唱える「高校無償化」だ。103万円の壁は、手取りを増やすはいいが、財源をどう捻出するかが課題とされるが、高校無償化については当の維新が地盤の大阪で先行しているため、いくらか先を見通せる。

「現行の国の就学支援制度では、公立・私立を問わず収入が910万円未満の世帯に11万8800円が支給され、加えて私立に通う590万円未満世帯には39万6000円が支給されます。これに対し維新案は、所得制限をなくすというもの。与党案では公立の11万8800円は4月から所得制限なしにし、私立に関しては再来年度以降に持ち越し。この差をどう埋めるかのせめぎ合いになっています」(全国紙記者)

 維新が高校無償化にこだわるのは、23年4月に大阪の吉村洋文知事がこれを公約に掲げて知事選に勝ったからだ。それゆえ大阪では24年度から世帯収入に関係なく無償化が実施され(一部高収入世帯では自己負担)、26年度以降は100%無償化となる。

 その結果どうなったか。全てが無償化が理由ではないとしても、大阪では24年度に初めて私立校専願者が30%を超え、同年度入試では、145校ある公立のうち70校が定員割れという事態になった。しかも旧制中学を母体とする名門校までが定員割れに。無償化の最大の理念の一つに、収入には関係のない就学の確保がある。だが実際は、私立にとって有利な状況になりつつあるのだ。

「維新の高校の授業料無償化は、橋下徹さんが府知事時代だった2010年に始めたもので、維新の看板政策と言えるものです。ですが橋下さんが大阪市長になって、松井一郎さんが府知事になり維新が大阪を完全な支配下に置いた14年以降、多くの公立校が多数統廃合されています」(在阪記者)

 となると、無償化が進めば進むほど全国的に公立校が不利になり、定員割れ・統廃合が広がるかもしれない。加えて、パーカーを制服にする高校が爆増する可能性もあるという。

「パーカーおじさん、職場でパーカーは有か無しか、なんていう議論が巻き起こるなど、何かとパーカーへの注目が集まっていますが、パーカーはこのところ制服でも人気が高く、導入事例が増えています。中には定員割れの起死回生を狙って導入し、志願者急増といったケースもあります」(前出・全国紙記者)

「高校無償化」の影響が、思わぬところで出始めている。

(猫間滋)

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