健康宅配チェックシート〈大腸がん〉(1)「沈黙の病」が発する希少な警告を見逃すな!

 年齢を重ねるごとに症状が悪化してしまいがちなお尻のトラブル。中でも便通の乱れは、単なる体調不良や食あたりの類いだと決めつけて、何となくスルーしてしまうことも少なくないだろう。しかし、この時点ですでに病魔に蝕まれている可能性も‥‥。

「排泄された便が細長い日が続いたり、赤色の血が付着した血便が出たりと異変に気づいたらすぐに病院に行ってください。すでに大腸がんが進行している可能性があります」

 こう警鐘を鳴らすのは、愛知県尾張旭市にある「あさひの森内科消化器クリニック」の福田頌子院長だ。20年に国立がん研究センターが集計したデータによると、日本人の部位別罹患者総数は1位。22年に集計した「がん死亡数」の順位では、男性が2位で女性が1位と、多くの日本人が命を落としている疾患に他ならない。初期症状がほとんどない「沈黙の病」の代表格だけに、警告サインを見逃すわけにはいかないのである。

「大腸の中でも、直腸にがんができる場合は便に症状が現れます。少し厄介なのが『痔』。血便ががんによるものなのか、痔によるものなのか、判別が付きにくい。どうしても、最悪を想定するのが怖くて『痔だよね?』と現実から目を逸らそうとしてしまう方もいますが、いざ大腸カメラで検査をしたらがんが発生しているケースはままあります」

 同様に別の疾患と混同してしまうのは「残便感」だろう。

「排便をしたにもかかわらず、肛門付近がスッキリしない状態です。過敏性腸症候群でも見られる症状ですが、この場合は直腸の知覚が過敏になってしまい、便があまり溜まっていないのに溜まっているように錯覚してしまうもの。それが大腸がんになると、がん細胞の影響で直腸の内腔が狭くなってしまい、便が引っかかって全部排泄されずに残ってしまいます。残便感の影響で肛門付近に痒みが生じることも。いずれの症状も自覚がある場合は注意が必要でしょう」

 そのまま直腸がんの状態によっては「人工肛門(ストーマ)」を取り付けることになる。一方で、ほとんど症状が現れないうちに進行が進んでしまう部位もあるようで、

「『結腸』という上行、横行、下行、S状に大別される部位にがんができた場合は血便などの症状が現れにくい。がん細胞が大きくなりすぎて、腸を塞いでしまう『腸閉塞』を起こして、ようやく不調が現れます。この段階まで見過ごしてしまうとステージ4まで進行している可能性が高い。5年生存率は約16.5%と死に至らしめる可能性も上がります」

 失われるのはQOLだけではないのだ。

【「大腸がん」チェックシート(14)】

セルフチェックで6点以上は近くの医療機関へGO!

(1)野菜を食べる習慣がない 1点
(2)肉類やスナック菓子を好む 1点
(3)喫煙習慣がある 1点
(4)アルコールを常飲している 1点
(5)年齢が40歳以上だ 1点
(6)大腸カメラを受けたことがない 1点
(7)家族にがんにかかった人がいる(いた)2点
(8)肛門付近が痒い 2点
(9)過去にがんになったことがある 3点
(10)残便感がある(過敏性腸症候群だ)3点
(11)ふらつくなどの貧血症状がある 3点
(12)最近、便が細長い気がする 4点
(13)血便が出た 6点
(14)腹痛を伴う便秘症状に悩まされている 6点

(つづく)

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