これまでの研究や観測データから、太陽は活動が活発になる「極大期」と、活動が弱まる「極小期」を周期的に繰り返すことが分かっているが、NASA(米航空宇宙局)は10月15日、太陽がすでに極大期に入っており、今後1年は続く可能性があると発表している。
それが地球にどんな影響を及ぼすのかといえば、その1つが磁場の乱れだ。最近、世界各地で北海道など北緯40度台の地域でもオーロラが相次いで観測されているが、本来は北極圏以外の地域で見られるものではない。これも極大期突入による地場の乱れによるものと見られている。
この程度で済むなら気にするほどではないが、磁場の乱れはもっと深刻な支障をもたらす。カーナビなどのGPSの位置情報に狂いが生じやすく、さらにスマートフォンや航空無線などの通信機器が障害を引き起こす可能性もある。さらには、中東やウクライナでの戦闘にも大きな影響を与えかねないという。
「現在の戦争にはGPSを搭載したドローンが実戦投入されています。当然、位置情報の誤差が大きければ使い物になりません」(軍事ジャーナリスト)
ただし、無人攻撃機や偵察機といった軍事用ドローンにどの程度の影響があるかは定かではない。それでも22年2月には、米スペースX社が打ち上げた49基の通信サービス用の低軌道衛星が、磁気嵐の発生によって目標高度に達せず、その大半を失っている。
「極大期には太陽の表面で『太陽フレア』と呼ばれる大規模な爆発が頻繁に発生します。これによって放出されるコロナガスは数日で地球に届き、GPSや通信機器に障害をもたらします。そのため、大規模な太陽フレアが起こった直後は、軍事用ドローンを作戦では使いにくいはず」(同)
さすがにイスラエルやロシア、ウクライナも太陽が相手では成す術がないだろう。