コロナ検査キットを贈呈して“口裏合わせ”トランプ氏が暴露されたプーチン大統領との「ズブズブな関係」

 日本でも「ディープ・スロート 大統領を葬った男」(文藝春秋、2005年)や、「FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実」(日本経済新聞出版、2018年)等々、数多くの翻訳本が出版され人気を得ている、ワシントンポスト紙編集委員でジャーナリストのボブ・ウッドワード氏。同氏はウォーターゲート事件を徹底取材、同事件におけるニクソン政権の組織的な関与を裏付け、一緒に取材したカール・バーンスタイン記者とともにピューリッツァー賞を受賞した米国でも著名な人物だ。

 そんなウッドワード氏が10月15日、新刊「War」を発売。その内容を巡って、11月に迫った大統領選に出馬するトランプ、ハリス両陣営が激しくザワついている。

 同著ではバイデン大統領やハリス副大統領、そしてトランプ前大統領と、ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相ら、世界の指導者たちとの秘密の会話が記されているが、発売を間近に控え、その内容が米メディア等で徐々に明らかになってきた。

 国際部記者が語る。

「今回の著書はバイデン政権の内幕を軸に描いたもので、ウッドワード氏はトランプ氏についてもこれまで複数の著者を発売していますが、いずれも関係者を数百時間に及んでインタビューするなど、バックボーンには徹底した取材がある。新書ではバイデン氏が連発する下品な俗語や、トランプ氏とプーチン氏の秘密のやり取りなどが含まれているとあり、大統領選を目前に控え、両陣営ともその内容に戦々恐々だと伝えられています」

 内容の一部を紹介しているワシントンポストやCNNなどによれば、もともと下品な俗語を口走ることで知られているバイデン氏は、イスラエルのネタニヤフ氏との電話でレバノン空爆を知らされた後、禁句とされる俗語を連発。電話の後でネタニヤフ氏に対し「悪者」「うそつき」と口汚い言葉で罵声を浴びせという。また、オバマ政権がロシアのクリミア併合を阻止できなかったと振り返る場面では、側近らに対し信じられないような禁句を連発したとされ、これが事実なら大変興味深い話だ。

「もちろん、トランプ氏に対する口汚い物言いが半端ではないことは言うまでもありませんが、同著ではトランプ氏が大統領時代、米国内で新型コロナウイルスの検査キットが不足していた時期にもかかわらず、なんとプーチン氏に検査キットを極秘裏に贈呈し、プーチン氏から『誰にも言わないでほしい。これを知ったら人々が腹を立てるだろうから』と伝達されていたことも記載されています。たしかに、トランプ氏が大統領在任中の2020年は、新型コロナウイルス検出のための検査キットが世界的で不足していた時期。それをプーチン氏の個人用としてひそかに送っていたとなれば、許しがたい背信行為と言わざるを得ない。さらに同著ではトランプ氏の側近の話として、同氏が退任後、7回もプーチン氏に電話をかけていたという記述もあります。ただ、トランプ氏は8日、米ABCテレビとのインタビューで、これらの記述を嘘だ、と切り捨てている。とはいえ、内容が具体的、かつトランプ氏ならやりかねないことから、波紋が広がることは間違いないでしょうね」(同)

 2016年のアメリカ大統領選でロシアが介入したとされる「ロシアゲート」事件から今年で8年。再燃したトランプ、プーチン両氏のズブズブの関係の真意を巡り、またも全米メディアが騒がしくなりそうだ。

(灯倫太郎)

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