注意喚起も一向に減らない「駆け込み乗車」実は路線によって対応が違っていた?

 駅で誰もが一度は耳にしている「危険ですから駆け込み乗車はおやめください」のアナウンス。実際、首都圏や関西圏などの都市部の駅は、ドアに挟まれている姿を目撃した人も多いだろう。なかには身をもって体験したという人もいるはずだ。

 もっとも、鉄道会社にとっても看過できる問題ではなく、今年4月には首都圏の鉄道28社が関東鉄道協会の協賛、国土交通省の後援のもと、「かけこみ乗車防止キャンペーン」を実施。啓蒙活動に努めている。とはいえ、都市部と地方のローカル線では駆け込み乗車に対する鉄道会社の対応も異なるようだ。

「大都市圏では列車の本数が多いですし、時間になれ駆け込んでくる人がいてもドアを閉めます。しかし、地方だと1本乗り過ごしてしまうと次の列車まで1~2時間待たなければいけません。そのため、“多少の配慮”はしているようです」(鉄道専門誌編集者)

 これは暗黙のルールに過ぎず、もちろん鉄道会社が公に認めることはない。駆け込み乗車に関してはあくまで禁止というのが会社の姿勢である以上、矛盾が生じてしまうからだ。

 特に都市部は過密ダイヤなので発車が30秒、1分遅れただけでも多くの列車に影響を与えてしまう。だが、ローカル線ならそもそも本数が少ないため、影響が少ないというわけだ。

「それに、地方だと路線によってはシカが線路に侵入することも多く、それに伴う一時停車や徐行による多少の遅れは日常茶飯事。前後に列車が詰まっておらず、駅同士の間隔も開いているので遅れを挽回することも十分可能です。だから、駅で少し発車が遅くなる程度は許容範囲なわけです」(同)

 ローカル線のほうが寛容なことは分かったが、それでも駆け込み乗車をやめてほしいことには変わりない。

「今の季節はまだいいですが、冬場だと雪国の駅ではホーム上の雪や氷に足を取られて転倒する方もいます。運転士は乗車口に向かってくる人の姿が確認できた場合、置き去りにすることはしません。そこは心配しなくていいと思います」(同)

 いずれにしても慌てなくて済むように余裕を持って行動したいものだ。

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