今季のメジャーリーグのトレード終了期日は、7月31日の米東部時間16時。地区優勝を狙うチームは選手層の薄いポジションを埋めようとし、下位に低迷するチームは「主力選手」を手放して、来季以降に活躍しそうな有望な若手をもらう。そんなメジャーリーグの“夏の風物詩”が今年も繰り広げられるわけだが、主役となりそうなのが、アスレチックスの投手メイソン・ミラーだ。
「昨年4月にメジャーに引き上げられると、デビューマウンドでは100マイル(160キロ強)の豪速球を投げまくりました。でも、直後に右肘を痛めてしまい…」(現地記者)
今季、故障から復帰した。100マイルの豪速球も蘇り、長期にわたって低迷するアスレチックスにおいては「希望の星」となっている。
「球団はミラーを大事に育てたいとし、今季はリリーフで使っていく予定です。将来的には先発で活躍してもらいたいと考えています」(同)
アスレチックスの「大事に育てる」「将来は」の言葉には、その裏に「他球団に高く買ってもらう」の意味合いも含まれている。他球団も「こんなスゴい投手がアスレチックスにいたのか」とビックリしており、興味を示しているという。
しかし“アスレチックス”“100マイル”と聞けば、われわれ日本人は藤浪晋太郎を思い浮かべてしまう。そう、じつはミラーも制球難なのだ。とはいっても、今年8月で26歳という若さだ。夏の駆け込みトレードの目的とは異なるが、獲得して「育て直す」パターンも考えられるという。
「ミラーの制球難が解消すれば、トッププロスペクト(有望な若手)を3、4人出すと約束しても、アスレチックスは交換トレードに応じないでしょう。2、3人の放出で済むのは今夏までなのでは?」(現地ライター)
戦力に余裕のあるチームが“先行投資”で動くかもしれない。そうなると、ドジャースか? ついでに、ミラー獲得に失敗した球団が藤浪を再調査してくれたらいいのだが…。
(飯山満/スポーツライター)