3連休が明けて、令和6年が本格的に動き出した1月第2週最後の12日の日経平均の終値は3万5577円。15日には一時3万6000円を超え、バブル後最高値を更新中だ。5営業日で2200円も上げていることから「4万円超え」も夢物語ではない状況となっている。
だが沸き立つ株式市場とは裏腹に、国民生活はかなりお寒い。
「厚労省が10日に発表した『毎月勤労統計』の昨年11月分の日本人の現金給与の総額は、前年同月比でプラス0.2%の伸びで23カ月連続の上昇でしたが、物価高に追いつかず、実質給与は前年同月比マイナス3%で20カ月連続減少というから、日に日に生活苦が増しています。厚労省は『今後も続いていく可能性があり』としていて、株資産がある富裕層と一般庶民の格差は広がるばかりです」(経済ジャーナリスト)
お寒い数字は他にも。9日には世界銀行が24年の経済見通しを発表したが、世界の実質GDPの伸びを前年の2.6%に対し2.4%と予測。アメリカも中国も前年の伸びより鈍化すると予想しているので、世界的な低成長ということだが、アメリカが2.5%から1.6%、中国が5.2%から4.5%に落ち込むのに対し、日本は1.8%から0.9%と半減。落ち込み度が大きいので、ゲンナリしてしまうほかない。
では日本人の生活が苦しいのになぜ株価が好調なのかと言えば、円安で企業業績が堅調というファンダメンタルの良さがあるから。ところが給与での「分配」が思わしくないので、実質賃金アップに反映していないのが実情だ。
そこで期待されるのが、昨年からようやく企業が目覚めた賃上げの動きだ。
「例えば三井不動産のように既に年頭から10%の賃上げを公約している大企業もあれば、非正規労働者を組織するユニオン・労組等をまとめる非正規労働春闘実行委員会が10%の賃上げを目標に掲げて気炎を上げるなど、だいぶ日本社会で賃上げムードが醸成されつつあって、経済の循環で非常に好ましい状況にあります」(同)
金持ちにも庶民にも等しく「金は天下の回りもの」と言える世の中が待たれるばかりだ。
(猫間滋)