米産トウモロコシ「250万トン追加輸入」の“犠牲”はどこが負うのか?

 8月25日にフランスで行なわれた日米首脳会談の共同記者発表で、トランプ大統領は「中国が約束を守らないせいで、我々の国にはトウモロコシが余っている。それを日本がすべて買ってくれることになった」と、日本がアメリカの余剰トウモロコシを購入することで一致したことを明らかにした。
 
 日本が肩代わりすることになったトウモロコシは、通常の年間輸入量の3カ月分にあたる約250万トンになる見込みで、民間企業が追加輸入するという。これにトランプ大統領は、「日本では民間が政府の言うことを聞くんだ。アメリカとは違って」と自国に対し皮肉を込めた発言までしている。

「27日に菅義偉官房長官は会見で、7月から蛾の幼虫がトウモロコシを食い荒らす被害が広がっていることを説明した上で、『飼料用のトウモロコシの供給が不足する可能性がある。このことが首脳会談で話題になった』と、あくまで日本側もトウモロコシが必要だったことを強調している。ただ、27日に配信された『AERA dot.』では、農水省が現時点で蛾の幼虫によるトウモロコシ被害はわずかで、『営農活動に影響は出ていません』とコメントしており、今後の被害も限定的であるとの見方を示しているんです」(政治部記者)

 しかし、である。例えば29日配信の「J-CASTニュース」での農水省のコメントによれば、「(今回のトウモロコシ輸入は)追加輸入ではなく、害虫被害が広がる可能性を考慮して、前倒し輸入で確保する場合は、最大3か月分、保管料を全額補助する」ものだと説明しており、もう何が何だかである。
 
「“押し付けられた”というイメージは可能な限り薄めたいというのが政府のホンネでは。民間企業に輸入させるとなれば、そこに支援金が発生することになるでしょう。しかも追加輸入のトウモロコシは飼料用に開発されたものとのことで、大量に入ってきたところで日本国内にそこまでの需要はない。結局、アメリカの代わりに日本がどこかに輸出するという、妙な事態になることも考えられます」(夕刊紙記者)

 結局、その要所要所で使われるのは、我々の税金ということだ。

(小林洋三)

ライフ