内閣府と内閣官房が、自治体に寄付した企業が軽減税率を受けられる「地方創生応援税制」、いわゆる“企業版ふるさと納税”の税額控除の割合を、寄付額の3割から6割に拡大する方針であることが明らかになった。法人税・住民税などの税率から算定される税負担率は約3割となるため、実質的な軽減税率は約9割となる。
「企業版ふるさと納税は、内閣府の認定を受けた地方公共団体が行う地方創生プロジェクトに対し企業が寄附を行うと、個人版のふるさと納税とは違って返礼品はないものの、寄付額が軽減される仕組みとなっています。ただし、企業版の寄付額は約30数億円となっており、5000億円を超える個人版に比べると寄付する企業が少なかったため、軽減税率を引き上げて20年までだった期限も延長する方針だといいます」(社会部記者)
ただ、こうした企業版の寄付への税負担軽減に対してネットでは《個人は3割を厳格化したのに、企業だけ6割還元って納得いかない》《消費税増税前に企業には甘い》《企業と自治体の癒着が起こらないか心配》など、多くの批判が出ているのだ。
「今年3月には、東京電力ホールディングスが青森県東通村に企業版ふるさと納税を利用して2億円の寄付を申し込み、これが『福島の復興に回すべきではないか』と批判を受けました。まだ控除の割合の拡大は決まったわけではありませんが、もし決定して多くの企業が利用するようになると、企業と納税する寄付先の自治体の関係によっては、疑問と批判が噴出する可能性もあります」(経済評論家)
妙な裏の取引が生まれないことを祈るばかりだ。
(小林洋三)