ヨネスケが激白!「小遊三、TOKIO松岡、イチローは男が惚れる男だね」

 今回はモテる男について話そうか。モテるって言っても、単に女からキャーキャー言われるだけの中身のない男のコトじゃないですよ。ほら、男が男に惚れるっていうじゃない。あれよ、アレ。俺が「いい男だなぁ~」って心底思っているのは、まず、三遊亭小遊三だね。

 小遊三とは、俺が師匠の桂米丸のとこに内弟子となった頃からの付き合いでさ、ある意味、戦友みたいなもんだよね。とにかく温和で怒ったところを見たことがない。しょっちゅう電話でもしゃべってるしね。あいつに電話をかける時は、だいたい午後の2時50分過ぎあたりにかけるの。何でかっていうとね、あいつ、サスペンスドラマが大好きだからそれを必ず観てるのよ。で、終わった時間を見計らって「終わった?」って電話するんだ。それから先はもう言いたいことをお互いに言い合っているね。

 小遊三は俺より後に弟子入りしているんだけど、年は1つ上だから、プライベートでは「にぃに」って呼んでるんだ。もともと小遊三と奥さんとの愛のキューピット役となったのが俺ってこともあって、もう家族同然。小遊三と奥さんと俺の3人で温泉に行くぐらいだもの。

 若い頃にはさんざんバカもやったしね。亡くなった柳亭痴楽(享年57や引退した三笑亭夢之助らと4人で一緒に飲んで酔っ払ってさ、電信柱によじ登って「セミっ!」なんて小便しながら「ミ~ン、ミ~ン」とかさ(笑) 。4人で飲む時は誰か仕事に行って来た奴が金を払うの。上下関係とかそういうのないんだよ。本音でぶつかり合えるし、切磋琢磨し合える仲間だったな。

 意外かもしれないけど、「TOKIO」の松岡昌宏君ともけっこう長い付き合いになる。松岡はとにかく人懐こい男でね、俺のこと「ヨネ爺、ヨネ爺」って呼ぶんだけど、この間も寿司屋で「ヨネ爺、いつもワサビだけどちょっと唐辛子かけてみない? 刺身に唐辛子って、けっこううまいんだよ」って教えてくれてさ。松岡はあんなに有名人なのに一般の人が飲んでるような焼き鳥屋とかでもへっちゃらで飲むからね。全然、芸能人ぶってないの。気取ったところがないんだ。俺は松岡の舞台は必ず観に行くんだけど、酒の席で芝居のことなんかにはこれっぽっちも触れやしない。会えば、お互いに自分たちの芸の話じゃなくて私生活の話ばっかりしているよ。

 それでも電話なんかで「ヨネ爺、おばちゃんから話を聞き出すコツ、ヨネ爺のテレビを見てマネしてみたらバッチリいったよ! ありがとうね~」なんて言ってくれたりしてさ。「ヨネ爺、死ぬ時は正月かお盆にしてくれよ」って言うから、「何でだよ?」って返したら、「俺がいちばん暇な時期だから」なんて……。そういうホロリとくることを平気で言う奴でね。情が深くて本当に可愛いんだ。

 そうそう、話はちょっと逸れるけど、俺、41年くらい前からメジャー全チーム巡礼の旅を続けていてね、先月ついに30球団を制覇したんだ。もうその達成感といったら言葉にならないね。それでさ、いい男の話に戻るんだけど、イチローさんの気配りもやっぱり超一流。

 俺は彼がメジャー入りしてから毎年のようにアメリカへ観戦に行っているんだけど、彼が日本にいる時なんかによく食事をしたりするわけ。イチローさんもプライベートでは野球の話はこれっぽっちもしない。「電動の掃除機が安い」とか、「どこそこの電化製品が安い」とかさ、そんな話をしてる。

 ある時さ、都内で食事をすることになって、そろそろ到着するかなと表に出て待ってたら、ワゴンタクシーがすーっと止まったの。そんでイチローさんが笑顔で降りてきた。ふっとナンバーを見たら、なんと神戸ナンバーなんですよ。「神戸から来たの⁉」って驚いて聞いたら、ひと言。

「シアトルまで来てくれることを考えたら安いもんじゃないですか」

 カッコいいでしょ。

 だから俺ね、次の目標はイチローさんがメジャーリーグの殿堂入りをした時に球場へ観に行くことにしようって決めたんだ。それが俺のメジャーリーグ観戦の完結かな。

 こうやって振り返ってみても、俺、かっこ悪い男とは付き合ってないよ。それは一般の人でも同じでさ。

 この間、ベロンベロンに酔っ払ってタクシーを降りたのはいいんだけど、どうやら住んでるマンションの反対側だったみたいでさ。到底、泥酔状態の俺にはたどり着けやしないわけ。それで道路で寝ちゃったのね。もう財布は散らばってるわ、お天道様は昇ってくるわで、すっごい状態よ。

 そしたら、通りかかった20代ぐらいの若いお兄ちゃんが「大丈夫? どこに住んでるんですか?」って、俺のこと、助けてくれたの。わざわざマンションまで連れて行ってくれたんだ。帰り際に「ところでおまえ、何やってるんだ?」って聞いたら、新宿歌舞伎町でホストをやってるって言うの。

 それで後日、そのお兄ちゃんが勤めてる歌舞伎町のホストクラブに行ったんだよ。まだ開店して間もない早い時間に1人で行ったんだけど、先日のお詫びを兼ねてシャンパンを頼んだんだ。でもね、俺、そのお兄ちゃんの名前、知らねぇんだ。スマホには電話番号はちゃんと登録してあるんだけど、名前のところには「俺の命を助けてくれた奴」って入れてんです。だから、そのお兄ちゃんの名前、いまだに知らない。電話して「今、歌舞伎町に来てるから、迎えに来てくれ」って。

 75歳の俺がもう少ししっかりしなきゃいけないんだろうけどさ、そんなことばっかり。だけど、不思議と情に深い人間に恵まれてるんだよね。俺の人生って!

ヨネスケ 落語家・タレント 1948年4月15日生まれ、千葉県出身。1967年、4代目桂米丸に入門し、1981年真打昇進。2020年、YouTubeチャンネル「突撃!ヨネスケちゃんねる【落語と晩ごはん】」を開設

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