「飲食店の無断キャンセル」が止まらない!それでも「対策できない」店側の切実な理由とは

 奈良県にある人気とんかつ店「まるかつ」が公式X(旧Twitter)で、無断キャンセルのいたずら注文があったことを明かし、「こんなことはやめませんか」と訴えた。

 同店によると、奈良市の奈良町本店で揚げ物のオードブル2点のテイクアウト注文があったが、予約の時間になっても受け取りに来なかったことから、聞いていた電話番号に連絡すると予約した人とは別人の電話に繋がったという。同店では、「いたずらした本人は面白半分かもしれませんし、どんな事情があったかわかりませんが、こんなことはやめませんか? お願いします」と呼びかけた。警察に報告したところ、奈良県では同様の被害が起きているという。

 とはいえ、まるかつではいたずら注文は年に1、2回で、数千件に1件以下だといい、「そのために先払い決済手数料や確認の電話の人件費を(間接的に商品代金に上乗せせざるを得ず)他のお客様にご負担いただくわけには参りません」と、無断キャンセル対策の難しさを説明してもいる。さらに、「一番の対策は、もしいたずら注文があっても、代わりに購入してくださったり、SNSで呼び掛けたら購入に行くと言ってくださるようなお客様とのつながり」との考えを示した。今回の無断キャンセル分も他の客に半額で買い取ってもらったという。

 とはいえ、無断キャンセルをSNSで呼びかけて、他の客に代わりに購入してもらうことも、単なる「美談」では済まない場合があり、そこにこの問題の難しさがあるという。

「昨年、ある和菓子店で予約されていた柏餅500個が予約時間の直前になってドタキャンされ、店主がSNSで呼びかけたところ、購入したいという客が殺到して完売、追加で作った500個もすべて売れたというニュースが話題になりました。こうした、SNSにトラブルを報告して客に助けてもらったという投稿はたびたびニュースで取り上げられますが、何度もSNSでSOSを出していたら店の信頼を失うことになりかねませんし、SOSの投稿自体を懐疑的に見る人も出てきます。無断キャンセル対策費用を代金に上乗せしたくないという気持ちもわかりますが、例えば5000円以上の注文には電話を折り返して本人確認をするくらいのことはしても良いのではないでしょうか」(フードジャーナリスト)

 もちろん、問われるのは客側のモラルだ。

「無断キャンセルは今回のようないたずらのケースもありますが、昔から飲食店などでは、単なる席確保のためにとりあえず予約しておいて、結局は行かないといったケースも少なくありません。無断キャンセルを軽く考えている人も多いようですが、数年前には、予約しておきながら無断キャンセルした50代の男が偽計業務妨害で逮捕されるという刑事事件も起きています」(フードジャーナリスト)

 経済産業省のレポートでは、飲食店の無断キャンセルによる被害は年間で2000億円にものぼるという。飲食店にとってはまさに死活問題であることを、客側も認識する必要がありそうだ。

(小林洋三)

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