大阪万博は開催できるのか…「パビリオン建設申請ゼロ」に追い打ちをかける「2024年問題」

 2025年に大阪・夢洲で開催予定の「大阪・関西万博」が笛吹けど踊らず状態だ。

 日本企業などによる国内出展の申請が建設予定25施設中わずか8施設、国外の国や地域に至っては今のところ申請ゼロという有様なのである。

「外国のパビリオンは自国で建設して独自性をアピールするエリアA、万博協会が建設したものを使うB、さらにこれを複数の国や地域が共同で使うCの3つがあるのですが、Aに関しては、必要な大阪市への建築申請がまだゼロなのです。コロナ禍によって前回のドバイ万博が1年ズレ込んだことで、準備期間が短くなってしまったことが原因の1つと言われています」(在阪マスコミ記者)

 また、世界的な物価高による資材の高騰という側面もある。必要なコストがかさむ中、建築計画が立ちにくいというのだ。

 日本国際博覧会協会は当初、24年7月にパビリオンの建設を終え、25年1月には内装を含めた完成を見込んでいた。だが、建設完了まで1年を切ろうというのに申請すらゼロという事態に関係者は大いに焦りを感じているという。14日には西村康稔経済産業大臣が「国ごとの担当者を配置して、当該国の課題を明確にして欲しい」と協会に伝えたようだが、問題の解決には至っていない。さらには「2024年問題」も重なってくるという。

「2024年問題と言えば、トラックのドライバー不足で物流が追いつかないことばかりが声高に叫ばれますが、この問題は建築現場も同様なのです。現場での時間外労働に上限が定められ、賃金も引き上げられるので、労働者の確保も含めて時間とコストが増大してしまう。24年7月の建物完成を目指すなら当然この問題が直撃します。どんな混乱が起こるか予想できないのです」(前出・記者)

 多くの問題を抱える大阪万博が果たして開催までこぎつけることができるのか、今のところ実に心もとない限りなのである。

(猫間滋)

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