くみ取り式でもあるだけマシ? 利用客を悩ます駅トイレ問題

 誰もが一度は利用したことのある駅のトイレ。新幹線の停車駅やターミナル駅、大都市圏の駅などは清潔なトイレを完備しているが、地方の駅は必ずしもそうとは限らない。
 
 なかでも未だにくみ取り式トイレの駅が多いのは四国。今月5日、そのことを報じたビジネスニュースサイト「Merkmal(メルクマール)」によると、その数はJR四国管内だけでも63駅になるという。ただし、まだトイレがあるだけマシとの見方もできる。なぜならトイレ自体がない駅も少なくないからだ。

「秘境駅の中にはトイレのない駅も多いです。そのうえ駅周辺にも公衆トイレがない場合も珍しくなく、JR宗谷本線の糠南駅(北海道幌延町)で案内するトイレは2キロ以上離れた公共施設です」(鉄道ジャーナリスト)

 まるで冗談のような話だが、秘境駅が多い北海道ではトイレのない駅だらけといっても過言ではない。それも最初から設置されていなかったわけではなく、最近になって撤去されたケースが多い。

「撤去の大きな理由は経費の削減です。1日の平均利用客が数人程度の秘境駅では駅の維持管理自体が大きな負担になっています。利用者が極端に少ない秘境駅などのトイレにも当然維持費がかかるため、撤去されるのもやむを得ないことだと思います」(同)

 しかし、こうした駅トイレの撤去は地方の秘境駅だけではない。今年2月にはJR外房線の永田駅(千葉県大網白里市)のトイレが撤去。JR東日本側は利用客の減少やコスト削減を理由に挙げているが東京駅から京葉線も乗り入れており、同駅の22年における1日の平均乗車人数は786人。乗客にとってはいい迷惑だ。

「しかも、京葉線は車内にトイレがありません。秘境駅のあるローカル線のワンマン列車ですらトイレはあるため、乗客にとっては極めて不親切です」(同)

 駅にトイレがあることは、決して当たり前のことではないのだ。

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