出張中に遭遇! 日本人ビジネスマンが見たフランス暴動のリアル

 6月27日、パリ郊外で17歳の少年が警察官の発砲により死亡したことに対する、警察への抗議デモに端を発したフランス暴動。瞬く間に国内全土に広がり、各地では略奪や放火が後を絶たず、拘束された人の数は3日までに3200人を突破。現在も増え続けている。

 先月から出張でパリに滞在する30代の会社員Yさんは、現地の物々しい雰囲気を次のように語る。

「オペラ座のあるパリ9区のホテルに泊まっているのですが、29日未明からパトカーのサイレンがひっきりなしに聞こえるようになりました。もともとパリ中心部では治安があまり良くないと聞いていましたが、ホテルの部屋の窓から見える範囲でも放火のもと思われる煙がいくつも上がっていました」

 29・30日には視察や打ち合わせの予定が入っていたが全部中止。30日は夜間外出禁止令が出され、東京本社の上司やホテルの従業員からは「日中も外出は極力しないほうがいい」と言われて部屋に籠っていたという。

「ホテルの周辺でも窓ガラスを割られたり、略奪された店があり、徒歩圏内のレストランやカフェ、商店も軒並み臨時休業。もともと長期出張だったのでカップ麺やフリーズドライの食料のストックはあり、ホテルのレストランも開いていますが、何日も部屋に籠る日が続いたのでさすがにストレスを感じます」(Yさん)

 4日ごろから暴動は徐々に沈静化へと向かい、現在は仕事での外出も再開。ただし、街の至るところに武装した警察官が立ち、放火された黒焦げの車の残骸なども見かけるとか。

「あと、フランスはアジア系の人間に対するヘイトが多く、先月末もパリ郊外で韓国人グループが襲撃されています。私はアフリカや南米などの治安が悪い地域への出張経験ありますが、今の街全体がピリついたパリの雰囲気はそうした国々と一緒。少なくとも安心して旅行を楽しむには程遠い状況です」(Yさん)

 この夏休みには大勢の日本からの旅行者が見込まれていたが、暴動によるキャンセル続出は避けられなさそうだ。

(トシタカマサ)

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