試供品の提供もアウト!?「ステマ規制」で囁かれる河野太郎大臣の得点稼ぎ

 消費者庁は3月28日、広告であるにもかかわらず広告とはわからないように宣伝を行う、いわゆる「ステルスマーケティング」を規制するとした。景品表示法の禁止行為として、10月1日からの施行を目指して運用基準を示す形となった。ところがこれに対し、「規制ありき」で基準が曖昧との声が上がっている。

「消費者庁が公表した運用基準は、企業が何らかの対価を払っているのに『広告』の表示を隠していた場合に適用され、規制対象となるのは企業側で、インフルエンサーなど実際に宣伝を行う者は対象となっていません。そして問題なのは、規制のあり方が多様な事例を網にかけるための包括的規制となっていること。だから例えば芸能人が自社の製品を褒めてくれたからと、広告しよう、してもらおうという意図がなく、厚意で試供品を提供しただけでも、試供品の提供という『対価』があれば摘発対象で“アウト”となるような中身になっているので、事業者らの間では、これまでの通常の広告宣伝活動まで萎縮する事態になるのではないかと見られています」(経済部記者)

 今回の規制は法律を変えないまま、かなりのハイペースで進められた経緯がある。まずは昨年4月に自民党の研究会で提言が出されて、9月に消費者庁で検討会が立ち上がり、パブリックコメントを同時に求められながら12月28日までに8回の会合が行われて報告書がまとめられる。自民党内で言い出されてから、わずか1年。だから昨年末には新聞各紙から「規制ありき」であることが指摘されていた。

 ここまで急がれた理由として、河野太郎消費者担当大臣の存在が指摘されている。

「地方創生を進めるために、安倍政権では、中央省庁の地方移転を進めようとしていましたが、消費者庁の徳島県への移転話が持ち上がったのが15年のこと。河野大臣時代が得点稼ぎをしたかったからです。ただ結局は全ての計画が絵に描いた餅で、一時は8道府県で7機関の移転が検討されましたが、結局実現したのは文化庁の京都移転だけでした。そして河野大臣がいったん消費者庁から離れ、昨年8月にまた大臣として戻ってきてから取り組んだのが、今回のステマと霊感商法。いかに新しい物好きかが窺えます」(前出・経済部記者)

 河野消費者担当大臣といえば、2月には経産省に申請された家庭向け電気料金の値上げについて、異なる官庁の事ながら消費者問題でもあるからと、電力4社にヒアリングを行って話題をさらいに行ったことが思い出される。

(猫間滋)

ライフ