昨年発表された総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2021年平均結果」によれば、2人以上の世帯の平均貯蓄額は1880万円だった。この結果に対してネット上では、《こんなに多いのか…》《この半分もないんだけど》など、不満のコメントが殺到したものだ。
「それもそのはずです。金融資産1億円以上の富裕層は日本人の0.16%ですが、その総資産額は97兆円にも上ります。また、ここまで多くはないですが、60代以上のシニア世帯は退職金をもらったり、すでに子供が自立して住宅ローンを払い終えた人も多い。つまり、こうした人たちが平均貯蓄額を大きく引き上げているのです」(ファイナンシャルプランナー)
同統計では2人以上の世帯の貯蓄額で70代以上は2318万円、60代2537万円、50代1846万円、40代1134万円、40歳未満だと726万円といったデータも出している。一方、平均値ではなく貯蓄保有世帯全体を二分する「中央値」は1104万円だった。これは40代の平均貯蓄額に近いが、実際には同じ世代でもこれだけ金融資産のある世帯は限られてくる。
ちなみに仕事を持つ勤労者世帯を所得別に5つに分類した「年間収入五分位階級別貯蓄高」を見ると、平均年収がもっとも高い層(1311万円)の平均貯蓄額が2664万円。これに対して一番低い層(354万円)のそれは789万円とほぼ3割しかない。
「収入に応じて貯蓄額が異なるのは当然ですが、年収1000万円世帯でも都心在住で子供2人以上だと貯蓄に回せる余裕がないケースが多い。金融広報中央委員会の『家計の金融行動に対する世論調査(令和3年度)』によると、40代で貯金200万円未満の世帯は24.6%と4分の1も占めています。これは貯金の多い世帯、逆に平均よりずっと少ない世帯の二極化が起こっていることを意味します」(前出・ファイナンシャルプランナー)
他人と比較してもなんの意味もないと知りながら、自分の預金残高を見つめて嘆息する人のいかに多いことか…。