ドジャースからフリーエージェントになっていた好左腕、タイラー・アンダーソンのエンゼルス入りが決まったという。複数の米メディアが「近く正式発表」(日本時間11月15日)と伝えていた。
「エンゼルスの今季の投手陣は、大谷が1人で支えていたと言っても過言ではありません。2ケタ勝利に到達した先発投手は大谷だけ」(現地記者)
アンダーソンは、今季15勝を挙げている。
エンゼルスはすでに球団売却に向けて動き始めており、補強や育成面でも不透明な部分が多い。FA選手が「エンゼルスとの交渉はちょっと…」と二の足を踏むなか、アンダーソン獲得に成功したベリー・ミナシアンGMの手腕はさすがと言いたいところだが、米メディアはそうは見ていなかった。
「投打ともに選手層が薄いので、アンダーソンの獲得補強は間違いではありません。でも、エンゼルスの買収に興味を持っている投資家たちは考え直すかもしれません」(前出・同)
どういう意味かというと、エンゼルスの近未来像が見えてこないのだ。
来季は大谷とアンダーソンが投手陣を牽引してくれるだろう。しかし、「3年から5年後のチーム像」が思い浮かばない。エンゼルスは今季途中、ノア・シンダーガードやブランドン・マーシュなど“有望株”と目される中堅、若手を放出している。経営上の事情もあったのだろうが、投資家たちからすれば“先細りするチーム”は買いたくない。また、新オーナーが買収後に“将来に期待がもてる球団”に建て直すとしても、時間が掛かる。
米メディアがマイナー選手の成績やドラフト会議時のスカウティングレポートをもとにまとめた“ファーム・ランキング”によれば、エンゼルスは30球団中28位。そのランキングも、有望株を放出する前の7月に公表されたものなので、さらにランクダウンしているはず。だとすれば、30億ドル(約4200億円)以上と報じられたエンゼルスの売却額は、今オフの補強を経て“値引き”される可能性もあるわけだ。
今回のアンダーソン獲得だが、「3年総額3900万ドル」(約54億円)とも報じられている。2022年のエンゼルスのチーム総年俸は1億7947万ドル。うち、マイク・トラウトが約3711万ドル、アンソニー・レンドンが約3657万ドルで、大谷の23年新年俸は3000万ドル。23年も同額の総年俸額が予定されているとすれば、アンダーソンを含めた4選手で半分以上を占める計算になる。
「大谷の存在が球団に付加価値をもたらしています。大谷の活躍で球団売却額が決まりそう」(米国人ライター)
エンゼルスは“未来”にもお金を投じるべきだろう。
(スポーツライター・飯山満)