連続ホールド記録!阪神・ジョンソンがこぼしていた「ヘタレ人生」

 虎の中継ぎエース、ピアース・ジョンソンが12試合連続ホールドを達成した(7月6日)。リーグ歴代3位の快挙となるが、その快投と同時に囁かれているのが、「なぜジョンソンを休ませていたのか?」という疑問の声。ジョンソンは6月7日に一軍登録を外されているが、6月29日に復帰するまでのジョンソン不在の間、チームは勝率5割を切るなど、苦しんできた。

 再登録されてからの活躍はすさまじいが、ジョンソンは登録抹消前も悪くない投球を続けていたのだ。

「肩や肘に痛みがあったわけではありません。抹消直前、ちょっと疲れていたようです」(在阪記者)

 一軍登録を外れるとき、ジョンソンは矢野燿大監督と話し合っている。約1カ月の二軍調整は疲労回復のためにも必要だったが、それはフィジカルではなく、メンタルが主な理由だった。

「速球にキレがあり球威も十分。バッターに向かっていく姿勢を含め、阪神は本当に良いリリーバーを見つけたと思います」(在京球団スタッフ)

 しかし、ジョンソンは自身の日本での活躍に戸惑っていた。その理由は、彼の経歴にある。1A、2Aで過ごした期間が長く、プロ5年目のシーズン途中にようやくメジャーデビューを果たした。だが、メジャー戦で自責点ゼロに抑えたものの、3日後にまたマイナー降格。故障選手が出たら昇格、その選手が復帰したらまた降格…という不遇の野球人生を送ってきた。

 その影響だろう、阪神入り後に好投しても「こんなにたくさんの声援が送られている」「好投しているけど、これは現実か!?」といった不安に駆られていたそうだ。普通の選手なら、低評価を下したかつての指揮官へイヤミの一言も浮かぶところだろうが、ジョンソンのマイナス思考は変わらなかった。そのため、精神的疲労が蓄積され、矢野監督以下首脳陣は、「一度、リフレッシュしてやらなければ、本当にパンクしてしまう」と心配し、二軍での休暇を決めたのだ。

「矢野監督にとってもジョソンのリフレッシュ休暇は、大きな賭けでした。ジョンソンのいない間のピッチャーのやり繰りは大変でしたから」(前出・在阪記者)

 二軍では、藤浪晋太郎がようやく本来のピッチングを取り戻しつつあるという。藤浪の昇格も先送りした。ジョンソンを休ませ、藤浪を温存したところからして、矢野監督は後半戦での猛チャージを狙っているものと思われる。ジョンソンは「こんなにアテにされて投げるのは野球人生で初めて」とも話していたそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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