米美術品評会で1位「画像生成AI作品」に批判殺到! いったい何が問題だったのか?

 8月26日から開催された米コロラド州の美術品評会。この品評会のデジタルアート部門で、画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」によって作成された作品が、なんと1位を獲得した。もはや芸術作品においてもAIが作るものに人間は敵わなくなってしまったのか!?
 
「Midjourneyは日本でも『1分で神絵が完成する』と話題になっている画像生成AIで、テキストを入力するとディープラーニングしたAIがネット上にある絵や画像を抽出し、テキストのイメージに近い絵を自動で生成してくれるのです。例えば、『夏休みの海』と入力するだけで、プロ顔負けのハイクオリティな夏の海辺の絵が即座に完成するんです」(ITジャーナリスト)

 今回、Midjourneyで作成した絵を品評会に提出したジェイソン・アレン氏によると、作品を制作するにあたって、まずMidjourneyを使って数百枚の絵を生成。その中から出来の良かった3枚を選び、画像調整など施したものをプリントアウトして提出したという。

 とはいえ、AIが作成した絵が品評会で1位を獲得したことの影響は大きく、批評家やプロのアーティストからも批判が殺到しているという。しかし、アレン氏はこう反論するのだ。

「物議を醸すことは分かっていた。批評家たちは芸術を制作方法で判断している。あるアーティストが逆さ吊りや鞭打ちされながら描いた絵は、他のアーティストたちの作品と区別されるべきなのだろうか?」

 もっとも、AIがディープランニングした絵や画像の中には、著作権のあるものも含まれていることから、

「アレン氏も『批評家たちはいずれAIが作成した作品を《人工知能アート》としてカテゴライズするだろう』と述べていることもあり、AIが作成したものを芸術作品として扱う場合には、人間が描いたものと区別する必要は出てくると思います。ただし、企業がアーティストに発注していた作品などは、AIの方が早くて安くて何枚でも描き直してくれるわけで、そうした仕事を奪っていく可能性はありますね」(前出・ITジャーナリスト)

 ディープラーニングの過程に問題があったとはいえ、AIによって仕事がなくなるのは、芸術家たちも同様ということか。

(小林洋三)

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