運が開けたことがあるわけではないが、縁起物だから捨てるに忍びない─。
そんな理由で我が家の神棚には何十年間も、招き猫が鎮座している。すっかり古ぼけているが、これがバカにならない。あるヤフオクウオッチャーによると、
「5月に出品された招き猫が、25万1000円の値をつけたのです。1000円で始まった入札で、5人が競り合い、瞬く間に金額が上がり、ビックリです」
ヤフオクで検索してみると、他にも高値をつけた招き猫は多数、存在していた。500円で入札が開始され、30万円を超えた招き猫までいる。いずれも作者不詳、製作年代もわかっていない。
一般的には小判を抱いて、片手を挙げて、愛らしい表情をした猫の置物をイメージするが、高値をつけたのは小判もなく、ちっともかわいらしくない。むしろリアルすぎる猫の置物だ。恐らく骨董的な価値があるのだろう。開運業界に詳しいライターが話す。
「招き猫は江戸時代末期に江戸の町で誕生しました。起源を巡っては、諸説あって、どこが発祥なのか、はっきりしていません。現在は愛知県の瀬戸と常滑で生産シェア8割を占めていますが、産地によって色や形が違っており、珍しい形や色の招き猫に高値がつく傾向があります」
我が家の招き猫はごく普通。左手を挙げた商売繁盛を祈願したものらしい。あと何十年かしたら、これが珍しい形の招き猫になることを期待しつつ、もうしばらくは鎮座させておこう。