「ハイパーループ」と呼ばれる交通・輸送インフラが近い将来、我々の移動手段を劇的に進化させるかもしれない。
ハイパーループは「スペースX」「テスラ」のイーロン・マスク氏も10年前から提唱しているもので、地上、または地中に設置された真空状態の専用チューブを走る乗り物。空気抵抗を受けずに済むのでエネルギーコストに優れ、超高速走行が可能。最高速度はなんと1100キロ以上に達するという。これは東京〜博多間をわずか1時間で移動してしまう速度だ。もちろん飛行機より早い。実用化されれば東京〜博多間を午前中だけで何回も往復することができてしまう。まさに「夢の超特急」なのだ。
開発・製造を手掛ける米企業の「HTT」は19年にフランスの専用施設で試験を開始している。また、「ヴァージン・ハイパーループ」も、20年にラスベガスで有人試験を行い、今年3月に閉幕したドバイ万博では乗車用の「ポッド」を展示している。
さらに日立グループの「日立レール」はHTT社とパートナーシップを結び、ハイパーループのデジタルシミュレーターの開発を6月に発表している。
ちなみにカナダではエドモントン〜カルガリー間での工事が25年から着工予定だ。さらにインドでは29年までの営業開始が計画されている。
ところが、日本ではこういった話はまったく聞かない。
「日本では日立レールのように一部企業が部分的に技術提供しているだけで、この分野では明らかに後進国。今からでも本格参入しないと差は開く一方です」(前出・同)
日本の足踏みを尻目に、ハイパーループはもうすぐ我々の前に現れそうだ。