「値上げカレンダー」まで登場したスタグフレーション下の日本「本格値上げはこれから」食品だけで2万品目

 しばらく前から毎日値上げのニュースを聞かない日はないくらいだが、上場している食品メーカーに限っただけでも、年内で2万もの品目が値上げされる予定だという。

「帝国データバンクが主要食品105社の価格改定動向を月ごとに調査しているのですが、今年は6月までに既に約1万5000品目で値上げがあって、7〜8月でさらに3000品目が加わるとのこと。そして秋が値上げの本番で、10月には単月で3000品目が加わり、年内で2万品目を超えるのは確実としています」(経済ジャーナリスト)

 その間、値上げの事情も中身が変わっているようで、5月頃までは小麦などの原材料価格の高騰が主たる原因だったが、最近になると1ドル130円を「規定路線」とした円高や原油高で輸入・物流コストが加わった。だから既に2月頃に値上げした品目は再値上げ、再々値上げの形で秋口に向けて増加しているのだとか。

 再々値上げともなると、もはや元の値段の感覚を失ってしまいそうだが、そうしたところ「値上げカレンダー」なるものまで登場。帝国データの場合は食品の主要105社に限られたものだったが、こちらはソニー損保が公表したものなので、日用品や外食などの生活に密接した商品やサービスも取り上げている。

 そこで食品以外に着目してカレンダーを見てみると、6月には外食のカレーやチキン、家具・家電、電気・ガス料金、そして30日からは航空料金が値上げとある。7月にはティッシュペーパーやコンビニのコーヒー、ハンバーガーショップのハンバーガーなどが値上げになり、値上げ本番の10月には回転寿司、照明家電、郵便料金、雇用保険、後期高齢者医療費負担などがズラリ。そして火災(地震)保険も平均10.9%、契約期間も5年の短縮と、損保会社としての周知も行われている。

「通常は雇用や賃金が縮小すると物価は下がるものですが、物価はインフレ状態にあります。これをスタグフレーションと言って、供給ショックや景気後退と通貨価値下落の重なり合いなどで生じるものです。今の日本はスタグフレーション状態にあると言えるでしょう」(同)

 古くは1927年の昭和恐慌や1970年代のオイルショックがそれ。最近だと08年のサブプライムローン問題の時もスタグフレーション化するかと言われたが、デフレで終わった。

 モノの値段が上がるのに給料が上がらないのだから本当に厄介。誰が退治してくれるのやら。

(猫間滋)

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