物価高と賃金停滞により日本は深刻なスタグフレーションの状況にある。経済評論家の荻原博子氏が警鐘を鳴らす。
「ただ、企業業績を見ると大手企業は過去最高益を計上しています。どの企業も自分の身を守るために内部留保をガンガン溜め込んでいるからです。例えば、自動車などの輸出産業は、急激な円安の差額により、115万円の車が135万円で売れて利益増につながる。ところが下請け会社は原材料高と円安のダブルパンチで大打撃。日本の企業は7割が中小企業です。このまま円安が進めば一気に倒産が進むかもしれない」
もはや指をくわえて静観するだけの政府に頼ってはいられない。
「生活費を切り詰めることが求められます。電気料金は昨年より24%も上がっています。夫婦2人暮らしならアンペアを60Aから40Aに下げるなどすれば節電意識も高まり、電気代を1000円程度安く抑えることができる。買い物に行く前に面倒でも冷蔵庫の中身を写メで撮って二重買いを防ぐ。ガソリン代は『gogo.gs』などネットの比較サイトで安いスタンドを探し10円でも安い店で給油すべし。物価高の中、唯一値下がりしているのがお米です。朝食は目玉焼きとパンから卵かけご飯に切り替えれば、1食50円浮きます。一家4人なら1日200円、1カ月で6000円、1年で7万円の節約になる。あらゆる手で生活防衛をするしかない」(荻原氏)
天井知らずの物価高と経済危機の打開策を明かすのは経済評論家の佐藤治彦氏だ。
「ズバリ、給料を上げることこそ唯一の解決策です。もはや、物価高、円安は止めることができません。庶民の給料を上げなければ庶民は生活できなくなる。とはいえ、実際には給料アップは実現しない。何しろこの20年、一向に上がらず、年金も同様。昔は物価スライド式で物価高になれば支給額が上がったが、今はマクロスライド式となり、今後ますます下げられることになるでしょう」
年金支給額は2年連続減額、高齢者は3重苦の冬の時代を迎えている。
*悪い「岸田インフレ」を乗り切る生活防衛術を専門家が指南(4)につづく