オードリー、かまいたち…お笑い賞レース「準優勝のほうが売れる」は本当か?

 漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」にはかねてから、あるジンクスがある。翌年に大ブレイクするのは優勝者ではなく、準優勝のほうというものだ。

 先駆者はオードリー。08年に敗者復活戦から勝ち上がってファーストラウンドを突破して、決勝戦の最終3組に残った。前年(07年)にこのパターンでサンドウィッチマンが決勝初進出で初優勝する奇跡を起こしていただけに、もしや再現かと思われた。だが、ふたを開ければ優勝はNON STYLEで、オードリーは準優勝に甘んじた。

 以降毎年ではないが、該当するパターンは多い。10年は優勝コンビの笑い飯よりスリムクラブ、16年は銀シャリより和牛、19年はミルクボーイよりかまいたち。20年はマヂカルラブリーが優勝したが、同率準優勝だった見取り図、おいでやすこがの3組すべてが全国区タレントになるミラクルが起こった。

 そんななか、賞レースではなくテレビ番組で“準優勝ブレイク”のジンクスを継承していた女性コンビがいる。Aマッソとオダウエダだ。

 2組は、NHK BSプレミアムで放映されていた芸人発掘番組「爆笑ファクトリーハウス 笑けずり」に出演していた。同番組は、オーディションで選出された無名の若手芸人たちが3週間のネタ作り合宿で競い、1話ごとに1組が脱落(けずり)していく。勝ち残った上位3組が最終回の生放送でネタを披露し、視聴者投票によって優勝者が決定する仕組みだった。

 15年の1stシーズンは漫才編で、ザ・パーフェクトが優勝。16年の2ndシーズンはコント編で、マスオチョップが頂点に立ったが、2組とも浮上のチャンスを逃した。15年は2位がAマッソで、3位がぺこぱ。16年は2位がオダウエダ。準優勝で悔し涙を飲んだ女性コンビが、のちにメジャーコンテストで競い、脚光を浴びることになった。

「この番組はBSだったので、本当にコアなお笑い好きしか観ていませんでした。が、講師や審査員を中川家、千鳥、バイきんぐ、サンドウィッチマンといったメジャー賞レースで実績ある人たちが務めていたため、見る目は確か。現にハナコや男性ブランコも、いいところまで勝ち残っていました」(バラエティ番組の構成作家)

 1位を獲れなくても、2位でも売れるお笑いの世界。夢が埋まっている。

(北村ともこ)

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