意外!?「HIS」農業事業への本格参入と期待される効果とは

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、野菜や果物の生産・販売をおこなう完全子会社「HISファーマー」を設立していたことが、4月26日に明らかになった。コロナ禍で旅行需要が低迷する中で農業を新たな事業の柱にしたい考えがあると見られ、ネット上でも《大手企業の農業参入は期待大》と歓迎の声があがっている。

「昨年12月からHISは埼玉県蓮田市でミニトマトの栽培とマーケティングの実証実験を始めていますが、新会社を設立したのは本格的に農業事業に参入するということでしょう。今後は、宮崎県日南市でグレープフルーツの生産を計画している他、農業体験ツアーなど地域農業の活性化や雇用の創出にもつながる事業の実現を目指すとしています」(旅行誌ライター)

 HISの農業本格参入にネット上では、《法人の農業参入は大歓迎。大規模農業主がなかなか日本には出現しないので是非期待したい》《跡継ぎがなく農家の減少も増えてきているので、日本の自給率を上げるのに大手が参入するのもいいことだと思う》《大手が参入することで今までとは違った農法や雇用を生み出してくれるかもしれない》《日本の農業はもはや斜陽産業でJAですら農業以外に力入れてるからね。ここらで革命を起こしてもらいたい》など歓迎と期待の声が相次いでいる。

「日本の農業就業人口は減り続けていて、農林水産省が発表している『農業センサス』『農業構造動態調査』によれば、2001年の382万人から21年には130万人と、この20年で実に250万人以上も減少しているのです。さらに問題なのが、130万人の農業従事者のうち、およそ90万人が65歳以上と7割がシニア世代という点。HISはコロナ禍で旅行事業が大打撃を受け、21年10月期の連結決算では純損益が過去最大となる500億円の赤字を記録し、さらには子会社によるGoToトラベル補助金の不正受給も問題となり、イメージも悪化しています。農業分野に力を入れることで、後継者問題や耕作放棄地など慢性的な問題に取り組むことで、これらを払拭して欲しいものです」(経済ジャーナリスト)

 最近では外国産の原材料が高騰しているので、食料自給率の上昇にも期待したいところだ。

(小林洋三)

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