「駅内暴力」対策でJR東日本が駅員のウェアラブルカメラ装着を検討

 1月24日、JR東日本が4月から夜間に勤務する駅員にウェアラブルカメラを装着させることを検討していることが明らかとなった。乗客とのトラブルや暴力を防ぐのが目的というが、そもそも駅員への暴行が多発しているのはなぜなのか。

「一般社団法人『日本民営鉄道協会』が昨年5月に発表した『鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況』によれば、大手民鉄16社で2020年度に駅員や乗務員に対する暴力行為は104件あったことが明らかになっています。ただ同年度は緊急事態宣言による移動制限やテレワークの推進などで乗客数が減ったことに比例して減少した数字であり、08年度~15年度までは毎年200件を超える暴力行為が報告されているのです」(社会部記者)

 なお、20年度に起きた暴力行為104件のうち、47件は22時~終電にかけて発生しており、加害者の年齢としては20代以下が22件、30代が24件、40代が22件、50代が20件、60代以上が15件とほぼ均等に分布している。

「22時以降に多く、全年齢でまんべんなく駅員に対する暴力行為があるということは飲酒が原因であると考えられますが、実は加害者の2割以上が酒を飲んでいないシラフの状況で暴行を働いているのです。しかも資料によれば、暴力行為が発生した主な契機では『理由なく突然に』が40件で38%を占め最も多い。つまり、周囲がモメている経緯を目撃する間もなく暴力を振るわれるわけです。加害者の逃亡や抑止を考えた上でも、駅員のカメラ装着は致し方ないところでしょう」(鉄道ライター)

 女性の駅員も増えているだけに、当然の流れと言えるかもしれない。

(小林洋三)

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