今年9月には初の映画となる「劇場版」が公開。10月14日からはシリーズ第21弾がスタートし、初回の平均世帯視聴率12.8%という好調な滑り出しを見せたテレビ朝日の人気ドラマ「科捜研の女」。同ドラマは、女優の沢口靖子扮する、京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコら研究員が、最新科学を駆使して難事件の真相解明に挑むというシリーズだが、そんな人気ドラマが今シーズンを最後に22年間の放送に幕を下ろすといった報道が相次いでいる。
ドラマ終了を報じた「女性セブン」によれば、終了に至った背景には「個人視聴率が重視されるようになったこと」「京都撮影所で撮影されるため出張費や滞在費がかかること」などを上げているが、さらにテレ朝には「科捜研」終了にともない、同ドラマが放送されている同局の「木曜夜8時枠」ごと終了させる計画もあるという。
制作会社関係者が語る。
「かつては『お茶の間』という言葉があり、テレビは家族で観るもので、だからこそテレビの視聴率といえば、世帯平均視聴率が重要だった。ところが最近は、個人視聴率がより重視されるようになりました。当然、金を出すのはスポンサー企業ですから、広告効果の高い年齢層に観てもらえなければ、お金を出す意味がないというわけです。その点『科捜研』は平均視聴率が良くても、その主体が高齢者であるため、かねてスポンサー受けがあまりよくなかったと聞きます。テレ朝自身が『視聴者の若返り』を目指していることもあり、ここ数年、同番組は難しい立場に置かれていたようです」
また京都撮影所における制作費問題も理由の一つでは、というのが民放プロデューサーだ。
「『警視庁・捜査一課長』や『遺留捜査』『刑事ゼロ』など、テレ朝の木曜8時枠は京都撮影所を使ったドラマが多く、正直、出演者の出張費や滞在費を含め、ここの経費がバカにならない。特に『科捜研』は、撮影所内に島津製作所が手がけた最新の科学機器を配置するなど、ほかの木曜8時枠に比べても1話あたりの製作コストが高いと言われています。同じテレ朝の『相棒』は大泉にある、東映の東京撮影所を使いながら高視聴率を記録し続けていますからなおのこと、時代劇ならともかく、京都へ行って現代劇を撮る必然性があるのか、といった上層部の判断もあったようです」
とはいえ、報道を受けネット上には《初めての劇場版が今年公開になったばかりなのにもう打ち切りなんて信じられない》《毎回の視聴率10%を超える超優良番組!若返りを図ったところで数字は獲れないのでは?》《若者のテレビ離れが加速しているのだから、今の視聴者を大切にしていく方が賢明だと思うけど》といったコメントが続出。さらには《科捜研の女が終わったら次は捜査一課長かな?京都撮影ものが消える日も近い、か》といった嘆きの声も。
ともあれ、常々『マリコは私の分身』と口にし、全身全霊でマリコ役に臨んできた沢口に待っている結末は……。
(灯倫太郎)