NTTドコモは10月2日、同社を装ったショートメッセージサービス(SMS)が届き、不正にギフトカードが購入されるフィッシング詐欺が発生したと発表した。被害者数は約1200人で被害総額は約1億円にのぼり、全額をドコモが補償するというが、これに疑問の声が相次いでいる。
ドコモによると、9月30日から10月1日までに「ドコモお客様センターです。ご利用料金のお支払い確認が取れておりません。ご確認が必要です」と書かれたSMSが多くの利用者に届いたという。
「このSMSに記載されたURLをタップすると、『NTTセキュリティ』『NTT DOCOMOセキュリティセンター』などと公式を装う不正なアプリをインストールするように促され、ネットワーク暗証番号の入力を求められる。その暗証番号が使われ、App StoreやiTunesのギフトカードなどが不正に購入されてしまったというのです」(ITライター)
そんな今回の詐欺に遭った利用者にはドコモが全額を補償するというのだが、ネット上では《なぜドコモが全額を補償するの? 確かにドコモを名乗っていたけど、どう見ても怪しいやつだったよ》《ある意味ドコモも被害者。情報はすべて警察に渡して全額補償する必要はないと思うけど》といった声が見られる。
「コロナ禍になってからというもの、AmazonやLINE、楽天など企業を装ったフィッシング詐欺が相次いでいますが、全額補償というのは非常に珍しいケースだと思います。ただ、これまでもドコモは電子決済サービスで起きた『口座不正引き出し事件』の際にも全額保証を行っていますし、d払い等における不正利用の被害を補償する制度を導入するなど、ドコモは詐欺被害への補償には積極的です。しかし、ネットのコメントにもある通り、フィッシング詐欺はドコモ側も被害者。もっとフィッシング詐欺が起こりづらいシステムにするなど、被害を最小限に抑えることが重要なのではないでしょうか」(ITジャーナリスト)
利用者側も、怪しいSMSには十分注意する必要がある。
(小林洋三)