「鼻の骨も頭蓋骨も折るよ。なあ、全部折る。お前の骨。1本1本折ったろか?」
自衛官が部下に発したとされるパワハラ音声データが9月16日放送の「NEWS23」(TBS系)で公開され、物議を醸している。
告発したのは2018年から沖縄県内の基地に勤務していた元自衛官。TBSの取材によると、髪の毛をつかまれるなどの暴力行為は日常茶飯事だったようで、2020年2月に県内の居酒屋で行われた宴会で決定的な事件が起きた。酒に酔った上官が被害者の元自衛官に後ろから首を絞めるなどの暴行をはたらき、それに抵抗し払いのけると、「お前を刺し殺して切り刻んでぶち殺してやる」との暴言を浴びせたという。
「宴会で事件が起きた後、いじめはさらにエスカレート。元自衛官は何度も自死を考えたそうで、結局、今年3月に退職。いじめの加害者とされる上官はTBSの直撃取材に『してません』『何もないです』と否定していましたが、元同僚の証言や音声データが証拠として残っているので限りなく“クロ”に近いと言えるでしょう」(自衛隊に詳しいフリーライター)
この衝撃のニュースに、ネット上では《パワハラどころの騒ぎじゃない。殺害予告じゃないか》《ここまで殺意をストレートにぶつけるとは…恐喝で刑事告訴すべき》と、非難が殺到する事態となった。
「いじめがエスカレートした20年2月といえば、当時の河野太郎防衛大臣がパワハラを行った自衛隊員への処分を厳罰化すると発表。それまでは自衛隊内で暴力をふるっても、数日の停職で済まされたケースが多かったのですが、被害者に重症を負わせるなどの重大な事案によっては免職にするとアナウンス。そのさなかの不祥事とあっては、『安心して入隊してもらうことは大事だ』とパワハラ撲滅を訴える河野太郎氏の声は、沖縄の自衛官には届いていなかったようですね」(前出・フリーライター)
河野太郎氏といえば、自民党総裁選に出馬し、「次の総理」と推す声も多い。その一方で、今年8月に行われたオンライン会議で、資源エネルギー庁の職員に「日本語わかるヤツ出せよ」と怒鳴りつけたパワハラ音声が「週刊文春」で暴露された。自身の言動だけでなく、防衛大臣時代に凄惨なパワハラが起きていたとあっては、発信力の無さを問われても致し方ないかもしれない。