衆院選候補者選び「大事な要素は女、女子」発言県議は森喜朗氏の元秘書だった!

 自民党の杉田水脈衆院議員が性暴力被害をめぐり、「女性はいくらでも嘘をつける」と被害者を愚弄する発言で物議を醸したのは昨年のことだが、またもや自民党議員による女性蔑視ともとれる問題発言が波紋を広げている。

 事の起こりは8月25日。この日、金沢市内にある自民党石川県連では、次期衆院選の候補者選びについての幹部会が開かれ、現職の馳浩氏、下沢佳充石川県議ら5名が出席。会合の後、報道陣の囲み取材に応じた下沢県議が、記者から「次期衆院選の候補者を選ぶうえで重要なことは?」と質問され、「私見を交えて言うと」として「若い細いかっこいいが有利だ」と語ると、目の前にいた男性記者に「君が一番やな」と発言。続けて「もう一つ大事な要素があった。女、女子」と語ると、女性記者2人を指し「該当者2人」と発言したというのだ。

 地元記者が語る。

「下沢県議は衆院選石川1区の候補者選考委員会委員長を務めており、石川1区をめぐっては、選考委員会が岡田直樹参議院議員にくら替え出馬を要請したものの、岡田氏が辞退したことで候補者選びが難航。結果、8月30日から9月3日までの5日間で、自薦・他薦を問わず公募で決めることになったんですが、いくらなんでも『女、女子』はまずい。現場にはテレビや新聞の記者がいて皆一瞬唖然としましたが、しばらくすると『やっぱり、あの人の元秘書だからねぇ』という声が漏れ、失笑がこぼれていました」

 下沢氏は石川県金沢市出身で、地元の小中高校を卒業後、早稲田大学商学部に入学。1995年に初当選し、県議会議長、県連幹事長を務めていたが、実は県議になる前、83年から94年まで、森喜朗元首相の秘書を務めていた。

「森元首相が早稲田の雄弁会に所属していたことはよく知られる話ですが、下沢県議も同じ雄弁会に所属しており、そんな縁もあって、大学卒業後程なくして森氏の秘書になったようです。周知のように森氏と言えば『子どもを産まない女性に税金は……』に始まり、政治家時代から失言や暴言には事欠くことがなく、東京オリ・パラ組織委員会会長時代にも『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる』という女性蔑視発言が問題視され、会長辞任に追い込まれました。今回の発言で下沢氏も議員としての資質が問われることは間違いないでしょうね」(同前)

 翌26日、一部新聞の取材に対し下沢県議は「言葉足らずな部分があったかもしれない」と釈明し、「女、女子」発言については、「お二方が失礼に思うのであれば申し訳ない」と発言を撤回したものの、「若い細い」発言については撤回の意思はないと語ったという。

 報道に対し、SNS上では《県連の元幹事長で、しかも森喜朗元首相の秘書だったそうだから、女性差別、女性蔑視の思想や態度に関して、大いに歪んだ薫陶を受けてきたのかもしれない》《自分の支持者のことも「女」としてしか見てないんですね》《人権感覚どころの話じゃない。森元首相の秘書。納得》といったコメントであふれ、さらには《「言葉足らずな部分もあったかもしれない」だって。河村たかしさんと一緒で、自分の何がおかしいのか全く理解できていないの》と、メダル噛み事件で大ヒンシュクの河村たかし名古屋市長を引き合いに出すコメントも散見された。

 自身のプロフィ—ルに《閉塞感が漂い不寛容さが増す現代社会は、本音の言いにくい環境…徒に批判を恐れ政治家も萎縮気味であります》と綴る下沢県議だが、やはり「本音」は時と場所を選ぶべきだった!?

(灯倫太郎)

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