大谷翔平「トリプル100偉業」と過熱報道の虚実(2)大型契約とコロナ不況で…

 投打にわたるトップクラスの成績や名声を手にして、なお際立ってくるのが大谷の〝コスパ〟のよさだ。

「18年に受けたトミー・ジョン手術の後遺症で不調に終わった20年オフに、2年総額850万ドル(約9億3500万円)で契約。すでに来季の年俸は、550万ドル(約6億500万円)に決まっています。20年のような絶不調に陥らない限り、年俸調停期間を終える22年オフに大型契約を結ぶことになりそうです」(スポーツ紙デスク)

 エンゼルスの大型契約といえば、19年にマイク・トラウト(30)が12年総額4億2650万ドル(約469億1500万円)、FAで加入したアンソニー・レンドン(31)が7年総額2億4500万ドル(約269億5000万円)の前例がある。大谷にも大物チームメートに匹敵する超ビッグマネーが提示されてもおかしくなさそうだが、

「米スポーツ専門局ESPNが、1年あたり5000万ドル(約55億円)、5年総額2億5000万ドル(約275億円)と見積もっていましたが、現実的な数字ではないでしょう。少なくとも半分の2500万ドル(約27億5000万円)×5〜8年の契約は堅いと言われていますが、トラウトやレンドンが契約した頃とはチームのお財布事情が異なりますからね」(友成氏)

 かつて新球団創設やリーグ拡張の動きがあるほど活況だった大リーグ市場は、コロナ禍により激変。どの球団も経営状況は火の車と化している。在米ジャーナリストが窮状を解説する。

「人気球団のエンゼルスは、年間約300万人の入場料収入が全体の4割を占めていた。それが昨シーズンのコロナによる無観客開催で泡と消えてしまった。今シーズンも客足は完全に戻っていない。22年から放映権料が40%上がって大幅な収入増を見込めるが、コロナによる減収をカバーするまでには至らない」

 となれば、23年オフに予定しているFAのタイミング、もしくはトレードで金満球団からオファーが殺到しそうなものだが、

「22年オフに長期契約で囲われれば、23年オフにはどこの球団も手出しできません。一部の報道でヤンキースとのトレードがささやかれていますが、非常に眉ツバもの。確かに、左の強打者やローテーション投手が不足している点では絶好の補強ポイント。ただし、主力選手のほとんどがFA加入による長期契約を結んでいる。トレードに出せる選手で大谷と釣り合うのは、アーロン・ジャッジ(29)ぐらいです。こんなトレード、成立するはずがありませんよ」(友成氏)

 どうやら縦ジマのユニフォームに袖を通すことはなさそうなのだ。

*「週刊アサヒ芸能」9月2日号より。(3)につづく

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