この資格でナンボ稼げる?(17)“はっても黒豆”を知ってますか?「ことわざ検定」

「おい見ろよ。あそこに黒豆が落ちてるぞ!」

「ん? どれどれ…いや、あれは黒豆じゃないだろ」

「いや、絶対黒豆だって!」

 ソソソソソ‥‥(地面をはう黒い粒)

「ほら、動いてるし。どう見たって虫だろ」

「黒豆が動いたって不思議じゃないだろ、黒豆だ!」

 まさに「はっても黒豆」。これは、明らかにおかしいことを言っているのに、非を認めようとしない様を表すことわざです。意固地になって自分の主張を曲げない人っていますよね。

 実は私、昔からことわざが大好きでして‥‥。というのも、冒頭の例のようにその場面を思い浮かべると、シュールでおもしろいものがいっぱいあるんです。

 そこで今回、紹介するのは「ことわざ検定(通称・こと検)」。ことわざ以外にも、慣用句、四字熟語などの知識をはかる検定です。

 さて、ここで恒例のクイズです。

〈問〉韓国で「強者同士の戦いで傷つくのは弱者である」などの意味で使われることわざに「●の喧嘩に小海老の背中が裂ける」というのがありますが、「●」に入る言葉は、①鮫、②鯱、③鮪、④鯨、のうちどれ? 実際の試験は択一式だけでなく、漢字の読み書き問題も出ます。例題の答えは④となっています。

 試験レベルは10級~1級まであり、私は4級・3級・2級・1級に合格しています。難易度的には10級は小学生低学年レベルですが、2級以上(大学・一般程度)になると、耳慣れない海外のことわざも出てくるので、けっこう難しいです。

 なぜ大の大人がことわざを学ぶのか─。ことわざは人生訓であり、よりよく生きていくための知恵をわかりやすく伝えるためのツール。私が好きなことわざに、「実るほど頭こうべを垂れる稲穂かな」があります。稲の穂は実るほどに穂先が低く下がっていくもので、人間も地位が上がるほどに頭を低く、謙虚にならなければいけないという教訓を説いています。

 パナソニックの創業者で、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助も「人の声に私心なく耳を傾ける謙虚さがあれば、知恵はこんこんと湧き出てくるものです」と、その重要性を説いていましたが、「実るほど─」の稲穂はイメージしやすいですよね。

 先日、引退したイチロー選手は日米通算4367安打という前人未踏の記録を打ち立てました。この偉業を「小さなことからコツコツと」と芸人風に例えるのもいいかもしれませんが、「雨垂れ石をも穿(うが)つの精神で」と、ことわざを交えることによって、言葉にグンと深みが出ますよね。

 自分の心を戒め、また他人の心をつかむことわざ。学んでおいて損はないはずです。

(すずき・ひであき)

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