引退や戦力外通告を受けて退団するプロ野球選手の数は、セ・パ12球団で毎年100人以上。ただし、コーチや球団職員、解説者などの道が用意されているのはごく一部だ。
しかし、多くの選手はそれまで野球一筋。そのため、球界を去った後のセカンドキャリアで苦労するケースも珍しくないが、数ある資格の中でもキャリアアップに有効な士業系の国家資格を取得して活躍している者もいる。
なかでも医師、弁護士とともに「三大国家資格」と呼ばれているのが公認会計士。今年の合格率はわずか10.1%という難関資格のひとつだが、これにプロ野球界出身者として初めて合格したのが元阪神の奥村武博氏だ。
97年ドラフト6位で投手として入団するも一軍登板機会ゼロのまま02年に戦力外となり引退。その後、一度は飲食業に従事するも、13年に9度目のチャレンジで公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て17年に晴れて登録となり、現在はアスリートのサポートやスポーツ関連事業のコンサルティングなどを行う株式会社スポチカの代表取締役を務める。
また、清原和博の外れドラフト1位で85年に近鉄に入団した桧山泰浩氏は、福岡市内で20年以上事務所を構えるベテラン司法書士。78年ドラフト2位でヤクルトに入団し、近鉄、阪神と渡り歩いた南秀憲氏も06年に大阪市内で司法書士事務所を開業。89年の球界引退後には宅地建物取引士の資格を取得しており、一時は不動産関係の会社に勤めていた。
ちなみに宅建士の資格は、00年代後半の西武の中軸を担った北京五輪日本代表のG.G.佐藤氏も所有。佐藤氏は他にも2級土木施工管理技士、測量士補と3つの国家資格を持っており、実父が経営する測量会社の副社長、関連会社の社長として辣腕を振るっている。
そして、92年のセ・リーグ最多奪三振王で低迷期の阪神投手陣を支えた仲田幸司氏は、引退後は野球解説者として活動していたが現在の肩書きは測量士。現場監督を務めるなど建設現場のエースとして活躍している。
プロ野球という華やかな世界に比べたら地味かもしれないが、引退後のセカンドキャリアとしては勝ち組だと言えるはずだ。