「宝酒造」缶チューハイ9600万本回収に「もったいなさ過ぎ」の声続出のワケ

 宝ホールディングス(HD)は5月20日、子会社の宝酒造が製造する缶チューハイの「缶上部の外周部分からアルミがはみ出す事例」が発生し、それにより購入者の男性1人が指に軽い怪我をしたことから、全国に出荷済みの117品目9600万本を自主回収すると発表した。しかし、ネット上では《ちょっと待った!》と回収にストップをかける声が多く見られた。

「同社によれば、三重県四日市市にある楠工場の一部設備のねじがゆるんでいたために突起ができてしまったとのこと。回収の対象となるのは、『タカラ焼酎ハイボールドライ500ミリリットル』『寶「私のレモンサワー」350ミリリットル』など昨年6月1日以降に同工場で製造された製造番号の末尾が「E」が付く缶チューハイで、賞味期限が21年5月から22年4月までの商品となります」(社会部記者)

 5月中旬に愛知県のコンビニから「缶に突起が出来ていて液漏れしている」との指摘があり、大阪市内に住む男性からも突起部分で怪我をしたという連絡があったことで事態が発覚したというが、ネット上では《注意して飲めばいい。環境、時間、コストなど全体最適を考えよう》《1億本近い商品を回収して廃棄する必要があるのか?》《すでに大部分は気づかず消費されていると思うが、それでももったいない。注意喚起と返品交換対応くらいでいいと思う》《中身に問題がないなら回収までしなくても…。費用だけでなく、エネルギーも無駄になるし》など、回収に反対する声も少なくない。

「自主回収のレベルでも《そこまでやる必要があるのか》といった声があるものなど様々ですが、今回はけが人が出ていること、また液漏れしている可能性があり品質を保証出来ないことから、回収は避けられないのではないでしょうか。ただ、回収して液漏れがないことを確認した上で、突起が出ているだけの商品を自社のオンラインストア限定で割引き販売することは可能かもしれませんね」(飲料メーカー関係者)

 世間の風潮からも、なるべく完全廃棄は避けてもらいたいものだ。

(小林洋三)

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