現地時間5月18日の対インディアンス戦で、エンゼルスの大谷翔平選手が単独トップとなる14号アーチを放った。地元放送局BSウエストは「今年の彼は驚異だ」「明日先発するのに!?」と興奮ぎみに伝えていた。しかし、そのベンチ裏では“激震”に見舞われていた。
「主砲のマイク・トラウトがDL(故障者リスト)入りしました。ふくらはぎを痛め、同日の試合から外されていました。4週間以上、その後の調整も含めて2ヶ月弱はチームには帰って来れないでしょう」(米国人ライター)
そこで、真っ先に思い浮かぶのが、5月6日に戦力外を通達されたアルバート・プホルスだ。現役最強打者とも称されるトラウトの戦線離脱ともなれば、得点能力のダウンは必至。「経験豊富で通算667本塁打を誇るベテランがいてくれたら」と思うのも当然で、同時に緊急トレード補強説も聞こえてきた。
「トラウトがいなくなれば、対戦投手の『打者・大谷』へのマークが厳しくなります。打線を機能させるためにも補強は必要かもしれません」(同前)
エンゼルスは目下、ア・リーグ西武地区で低迷しており、レンジャーズと0・5差の最下位争いの真っ最中。首位とは6ゲーム差も引き離されていて、ここで浮上のきっかけを掴まなければ、今シーズンは早々に「ジ・エンド」となる。しかし、トラウトの代役が務まる大物の補強となると、それ相応の交換要員が必要となる。「トラウト抜きで2カ月間戦うことに…」と、現実的な見方をする関係者も少なくないそうだ。
「しばらくは『打者・大谷』の出場機会を増やし、トラウトの代わりに外野守備にも入ってもらうのではないか」(現地関係者)
昨年オフの話に遡れば、トラウトは子どもを授かり、「家族を守るため、コロナ感染防止の観点から21年シーズンをオプトアウト(出場辞退)したい」と、球団に相談していた。今年1月になってからオプトアウトは撤回してくれたが、「トラウト抜きの戦力ダウン」は、故障という形で現実となってしまった。
ペナントレースは、まだ先が長い。ここで踏みとどまらなければ、全てが消化試合になってしまう。チームの命運は大谷次第、「4番・投手」の“重圧の二刀流”も十分に考えられる。
(スポーツライター・飯山満)