大谷の登板試合でズタズタに…「エンゼルスのレジェンド」のプライド

「DH・大谷」の代役は、現役1位の通算本塁打667本を誇るレジェンドではなかった。ロサンゼルス・エンゼルスが「チームの顔」でもあるアルバード・プホルス選手の“事実上の引退”を発表した。球団が選手登録を外し、他球団とも交渉できる「DFA」と発表したので、現役続行の可能性はまだ残されているが、近年は成績も下降ぎみだった41歳にオファーが届くかどうかは疑問だ。

「オーナーのホセ・モリナ氏が慰労のコメントを発表しました。オーナーが一介の選手の退団に対し、コメントを出すのは異例中の異例。でも、ファンは突然のDFAに『晩節を汚すな』と怒り心頭です」(米国人ライター)

 そんなレジェンドの退団に、大谷翔平の活躍も影響していた。

 当初、今年のエンゼルス打線は「大谷が投手出場する試合では、プホルスがDHで出場する」と予想されていた。しかし、大谷が先発登板する際、DH制を解除するリアル二刀流となるときも多かった。プホルスは一塁も守れるが、一塁兼外野手のジャレッド・ウォルシュが打撃好調で、マイナーにも昇格目前の有望株が何人もいるという。しかし、チーム事情だけが理由ではないようだ。

「5月5日のレイズ戦後(現地時間)、地元紙のロサンゼルスタイムズが『おかしい』とざわつき出したんです。大谷が先発し、DH制を解除しないで臨んだ試合でした。プホルスはDHで起用されず、ベンチスタートとなっただけではなく、『オープン戦かよ?』と突っ込みたくなるような控え選手だらけの打線となりました。プホルスのプライドはズタズタに…」(同前)

 現地関係者によれば、プホルスをスタメンから外したのはジョー・マドン監督の意思ではなく、フロントからの要請らしい。

 プホルスは今季終了までの10年という超・大型契約を交わしていた。年俸3000万ドル(約31億5000万円)で、近年の成績では“不良債権”と揶揄されることも多く、また、現在のペリー・ミナシアンGMは昨秋に着任し、新体制の現フロントは「10年契約」には関わっていない。そのため、ドライな判断につながったという。

「プホルスは引退後もエンゼルスの球団ピーアールに関わっていく契約も結んでいました。だから、エンゼルスのファンは怒っているんですが、現実的に見て、『チームの顔』『看板選手』は大谷に変わりました」(地元メディア)

「あと33本」と迫った通算700本塁打が達成されれば、MLB史上4人目の快挙。少ない出場試合数のなかで、今季、すでに5本を放っており、本来ならば、エンゼルスがそれを応援すべきだったが…。古巣・カージナルス、カージナルス時代の同僚が監督を務めるホワイトソックスなどが移籍先として予想されているが、悲観的な声のほうが多い。レジェンドも二刀流のインパクトには勝てなかったということか…。

(スポーツライター・飯山満)

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