追悼・田中邦衛の知られざる晩年素顔、パパラッチが見た“最後の姿”とは?

「胸が詰まりますね…私が語るほどではないんですけど、本当に他にはいないくらいの思いやりとやさしさとユーモアと、スタッフへの気遣い、素晴らしい方だったと今でも(心に)残っています。本当にスタッフから、地元の方から…。みんな邦さんを愛してました」

 代表作「北の国から」で共演した女優の児島美ゆきは、4月5日放送の「めざまし8」(フジテレビ系)に生出演。こう語って名優の死を悼んだ。3月24日に老衰のために亡くなった田中邦衛さん(享年88)。4月2日に訃報が伝えられると、翌3日にはシリーズ屈指の名作と言われる「北の国から’87初恋」がオンエアされ、9.4%(関東地区)の高視聴率をマークした。

「『めざまし8』では秘蔵VTRが流れて、クランクアップの際に、オナラをして共演者やスタッフを笑わせるなど、サービス精神旺盛な素顔が明かされていましたが、私生活でもまったく大物ぶることはなかったですね。ご自宅は横浜にあり、東京で仕事をする際には電車通勤していたそうです」

 こう話すのは、晩年の田中邦衛を追いかけた経験を持つ週刊誌カメラマンA氏。2012年から2013年にかけて、田中さんの「引退説」がささやかされると、自宅前に張り込んでその晩年の姿をカメラに収めようとしたという。

「セリフが頭に入らないとの理由で、すでに俳優業のオファーはすべて断っていたようです。それでも防災ボランティアなど、地域の活動にはちょくちょく顔を出しているとの情報もあって、編集部の指令を受けて張り込んだんです」(A氏)

 張り込みを初めて2日、それでも田中さんはいっこうに姿を見せなかった。「せめて家の前でそうじをしている姿でも撮れたら」と、そんな気持ちでパパラッチ車両の中で待機していたのだが…。

「そろそろ日も暮れるし、もう無理かな…ってあきらめかけていたら、ご自宅の2階のベランダの窓が開いて、田中さんが姿を見せてくれたんです。とくに洗濯物を取り込むわけでもなく、ボーッと夕暮れの街並みを眺めているようにも見えました。夢中でシャッターを切りましたよ。当時は『やっと撮れた~』という心境でしたが、今になって考えると、自分たちの存在に気付いていたんじゃないか…。大のマスコミ嫌いで滅多にインタビューを受けないことで知られていますが、わざわざシャッターチャンスを提供してくれたんじゃないかって、そう思えて仕方ありません」(A氏)

 それが、A氏が撮った田中さんの“最後の姿”となった。その写真は今も大事に保管されているという。田中さんのご冥福をお祈りしたい。

(倉田はじめ)

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