開かずの金庫から大判小判が!「鍵師技能検定」でプロの技術を学ぶメリット

 読者の皆さんはバラエティー番組「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(テレビ東京系)の人気コーナー「開かずの金庫を開けろ!」をご存じでしょうか。由緒ある名家の蔵などを訪ね、開けられなくなった金庫に鍵職人が挑戦するという企画ですが、1月1日に放送された回では、純金製の大判小判のレプリカ、年代物の記念メダルなど、価値にして約250万円ものお宝が発見されたことで大きな話題となりました。

 こうした企画が流行していることもあり、最近は鍵のプロフェッショナルが注目を集めています。

 そこで今回、ご紹介するのは「鍵師技能検定」。この検定では、錠前の構造などを学ぶとともに、元鍵を用いずに解錠する技術をはかります。

 それでは例題を見てみましょう。

〈問1〉古い家や家具に使用されていて、てるてる坊主や前方後円墳のような形をした鍵穴の錠(※写真)のことをなんと言う? 【1】チューブラ錠、【2】シリンダー錠、【3】プッシュプル錠、【4】ウォード錠

〈問2〉日本ロック工業会(JLMA)が定める一般錠の耐応年数は、【1】10年、【2】20年、【3】30年、【4】50年のうちどれ?

 実際の試験では実技試験と筆記試験が行われ、筆記試験では記述問題と選択問題が出題されます。例題の答えは〈問1〉が【4】、〈問2〉が【1】となっています。

 この検定を主催する「日本鍵師協会」は、試験に準拠した養成講習を行っているので、知識や経験がまったくない方にも門戸が開かれています。

 近年は鍵を不正に開錠するピッキング犯罪が横行していることから、セキュリティの強化が叫ばれています。

 かつて住居の鍵といえば、左右両端がギザギザしたディスクシリンダー錠が一般的でしたが、現在はプレートに点字のようなクボミが刻まれたディンプルキーが主流になりつつあります。これは100兆以上のパターンがあると言われ、防犯性が高くなっている一方、そう簡単に合鍵が作れないというデメリットもあります。

 こうした基本的な知識は、不動産業界や警備業界で働く人にとっても大きな武器となるはず。

 もちろん、「鍵屋」への就職や独立開業を視野にこの検定にチャレンジするのもいいでしょう。

 最近はスマホの操作で解錠するスマートロックシステムやカードキーが普及し始め、アナログの鍵を使用する機会は徐々に少なくなっていくかもしれません。

 それでも日本の鍵市場は、年間500億円規模と言われ、賃貸物件で入居者が入れ替わるたびに鍵を交換するのは必須。「鍵をなくした」というSOSが昼夜問わず鍵屋に舞い込んでいます。技術を極めれば、冒頭のように「開かずの金庫」を相手に職人技を披露する機会もあるでしょう。

 なにより、自身に鍵のトラブルが降りかかった際に、慌てず対処できるよう、取得しておいて損はありません。

儲かる指数:72

鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。

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