12月13日、すい臓がんで逝去した女優の浅香光代。ステージ4で余命3カ月だったことが遺族によって明かされたが、10月にはNHK−BSの番組に出演するなど精力的に活動していた。本人はまだ仕事を続けたかったかもしれないが、92歳まで女優として現役だったことを考えれば大往生と言ってもいいだろう。
ちなみに最近は芸能界も長寿高齢化が進んでいる。今も活躍を続ける人がいる一方、すでに第一線を退いている者も少なくないが、存命の90代芸能人はかなり多いようだ。
ドラマ「水戸黄門」で3代目ご老公を演じた俳優の佐野浅夫は現在95歳。俳優業は15年ほど前から事実上の引退状態にあるが、童話作家としての顔を持つほか、元特攻隊員という経歴の持ち主で反戦平和をテーマにしたインタビューなどにも登場している。
また、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」シリーズで「おかくら」2代目女将・青山タキさんを演じる人気女優、野村昭子は93歳。昨年放送の「渡鬼スペシャル」にも出演し、今も女優業を続けている。そんな彼女は東京薬科大学の前身の東京薬学専門学校の出身。東大病院に勤めるエリート薬剤師だったが、異例すぎる転身は大成功だと言えるだろう。
さらに関西ローカルを中心に多数のテレビ番組に出演していた“浪花のモーツァルト”こと作曲家のキダ・タローもすでに90歳。昔から風貌がほとんど変わらないイメージはあったが、そんなに高齢だったとは驚きだ。
ほかにも漫才師の正司歌江(91)、作家の童門冬二(93)や宗田理(92)、元ニュースキャスターの俵孝太郎(90)などがいるが、これでもまだほんの一部にすぎない。
なお、故人を含めた映画人の長寿記録は、勝新太郎の「座頭市」シリーズのシナリオを担当した映画監督・脚本家の犬塚稔(享年106歳。1901〜2007年)。女性芸能人では女優や演出家として活躍した長岡輝子(同102歳。1908〜2010年)が最高齢。だが、これを上回る長寿芸能人が登場するのも時間の問題なのかもしれない。
※文中一部敬称略