たった1日で100万円の投資資金が塩漬け!「仮想通貨」残酷物語

「2017年は、仮想通貨の投資家にとっては天国でした。私は17年10月から30万円ほど投資しましたが、年末には含み益は150万円を超えていました。相場全体に勢いがあり、このまま右肩上がりで伸びていくと思っていたのですが……」

 こう話すのは、個人投資家のAさんだ。Aさんが言うように17年の仮想通貨市場は凄まじい成長を遂げた。例えば、1ビットコインの価格は、17年初頭には10万円程度だったが、8月には50万円を超え、12月には200万円を突破。ビットコインと連動して他の仮想通貨の価格も高騰し、市場は一気に盛り上がった。

 当時「仮想通貨をやらない理由がない」が口癖のAさんに影響を受けたのが、Bさんだ。Bさんは慌てて仮想通貨取引所のコインチェックで口座を開設し、ビットコイン、イーサリアムにそれぞれ50万円、計100万円投資した。当時、イーサリアムはビットコインに次ぐ、時価総額2位の仮想通貨だ。

 しかしBさんを待っていたのは天国ではなく、地獄だった。

「ドラマでもないような、まさかの展開でした。投資した翌日、コインチェックのネム流出騒動が起こり、取引ができなくなってしまったのです。騒動を引き金に仮想通貨価格はどんどん下がっていきましたが、どうすることもできませんでした。慌てずに、せめてあと1日待って取引を開始していれば……と、今では悔やんでも悔やみきれません」(Bさん)

 Bさんが購入したときは、1ビットコインが約124万、1イーサリアムは約11万円だったという。コインチェックは3月12日、一部の仮想通貨の出金・売却を再開したが、そのとき1ビットコインは約100万円、1イーサリアムは約7万5000円と大きく値を落としていた。

「落胆しましたが、流出したネムではなかったので、いずれ価格は上昇するだろうと楽観視していました。ところが規制強化など仮想通貨のマイナス材料が多く、その後も価格は低下していきました。売却すれば損が確定するので、売るに売れません。しかし価格はさらに下がっていく。株でいえば、〝塩漬け〟の状態です。このままでは100万円がパーですね」(Bさん)

 10月31日現在、コインチェックでの1ビットコイン価格は約71万円、1イーサリアムは約2万2000円といまだに低空飛行を続けている。Bさんが救われる日が来るとしても、まだまだ遠そうだ。

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