「なぜ内川を二軍に?」SB・バレンティン一軍昇格で囁かれる“球界の慣例”

 シーズン最多本塁打記録保持者の一軍昇格に「どうして?」の声が集まっている。

 10月2日の日本ハム戦からウラディミール・バレンティンが一軍に合流した。福岡ソフトバンクに移籍して1年目の今季、不慣れなパ・リーグ投手にタイミングが合わないのか、8月下旬以降は二軍での調整が続いていた。今回の一軍昇格はデスパイネの右膝痛による入れ換えだが、それに納得していないファンも多いそうだ。

「内川聖一が今季、一度も一軍に登録されていません。『デスパイネが降格なら、内川』とファンは願っていたようですね」(地元記者)

 バレンティン昇格後、工藤公康監督は「なぜ、内川ではなく、バレンティンを選んだのか?」の質問も受けている。ベテラン内川の二軍暮らしが続いていることは“ホークスファン最大のナゾ”にもなっているようだ。

 工藤監督はデスパイネの代役を決めるにあたって、内川の名前が出たことも打ち明けている。

「残されたグラシアルを外野ではなく、内野で使いたいこと」「内川の打撃が9月に入って下降ぎみ」「長打力での比較」とも話していたが、それだけではないようだ。“プロ野球の慣例”も影響していた。

「選手の一、二軍の入れ換えは、全ては一軍の状況次第なんです。故障、不振など選手が二軍に降格する理由はさまざまですが、まず、『誰が降格するのか』が先に決まります。その次に『誰を昇格させるか』の話し合いになります。二軍首脳陣も好調な選手を推薦しますが、一軍首脳陣は降格する選手と同じタイプを選ぶ傾向にあります」

 コーチ経験を持つプロ野球解説者はこう話す。二軍で好調な選手がいて、その推薦を受けてから「選手の入れ換え」が話し合われることはない。一軍選手の降格がなければ、入れ替えの話し合いは行われないのだ。

「もっと言えば、開幕一軍メンバーに選ばれるかどうかが重要なんです。長打力を秘めた選手、出塁率の高い選手、機動力など、一軍首脳陣は各選手の特徴を見極め、一軍メンバーのタイプ別の人数構成を決めます。工藤監督が一撃で試合を決めることのできる大砲がほしいと思っているのなら、内川ではなく、バレンティンが選ばれて当然です」(前出・開設者)

 そう言われてしまうと、一軍メンバーに選ばれるかどうかは、プロ野球選手にとって重要なことなのである。内川の周辺が騒がしくなってきた。終盤戦のベテラン帰還を信じるファンはまだ多いのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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