連続ドラマ「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)が6月14日放送の第7話で4週間ぶりに放送を再開した。本来は5月24日に放送予定だった第7話だが、新型コロナウイルスの影響で放送が延期となり、緊急事態宣言の解除などを受けてこの日の放送に漕ぎつけた形だ。そんな第7話にて、一瞬、放送事故を疑うような謎の「時空ワープ」が発生していたというのである。
この第7話では「爆音エンジェルズ」という地下アイドルグループを軸にストーリーが展開。メンバーのココ(武田玲奈)がストーカー被害に遭っており、ヒロインの小林苺(小芝風花)がココと高校の同級生だったという縁から、苺が主人公の明智五郎に爆音エンジェルズのボディガードを依頼するところから物語が始まった。
「明智の事務所に寝泊まりするようになったココがトイレで自分のスマホを取り出した時、その画面には『12月2日(水)』の日付が。この曜日は今年の12月2日に当たり、物語は半年先の未来を描いていたのです。しかも中盤では『12月4日(金)』の日付が映し出される場面もあり、物語中ではちゃんと時間が進行しているので、制作側の単純ミスでもなさそうです」(テレビ誌ライター)
本作の設定を振り返ると、4月12日放送の第1話ではフランスから送られてきた絵葉書に2020年4月の消印が押されており、劇中と現実の時間がリンク。放送中断前の第6話でも登場人物が5月中旬の初夏にふさわしい服装をしており、やはり現実の時間に即して物語が進行していることを示していたのだ。
それが今回の第7話ではなぜ、舞台設定が半年も先に飛ぶ「時空ワープ」が発生したのだろうか。その理由は地下アイドルを物語の軸に据えた第7話のストーリーにあると、音楽ライターが指摘する。
「劇中では『爆音エンジェルズ』のライブでファンがヲタ芸を打ち、コールを叫ぶ場面が映し出されていました。しかしライブハウスの営業は6月19日からのステップ3にて解禁されるものの、当面は《コールなし》《ステージから2メートル以上離れる》《ファン同士は2メートル以上のソーシャルディスタンスを維持》といった厳しい条件が課されることに。そのため物語がリアルタイムで進行した場合、現実との乖離が目立つことになってしまうわけです。しかも劇中ではココのストーカーがマスクなしでライブを鑑賞。これも現実ではあり得ないことなので、制作側としては新型コロナ禍がほとんど収まっているであろう時期として、時期を12月に設定したのではないでしょうか」
放送翌日の6月15日には東京で30℃を超える暑さを記録したものの、劇中ではココ役の武田玲奈が冬服の上着を羽織る場面も。これも12月という場面設定に合わせた演出だったはずで、新型コロナはストーリー内の季節にまで影響を及ぼしていたようだ。
(金田麻有)