この資格でナンボ稼げる?(61)政府が新制度導入で注目の「手話技能検定」

 4億7000万人─。

 この数字はWHO(世界保健機関)が発表した全世界の聴覚障害者の数で、日本には約36万人(厚労省統計)いると言われています。

 近年はバリアフリー推進の動きもあり、行政の窓口などでは「手話」に対応するため積極的に取り組んでいます。

 今年2月28日、政府は電話リレーサービスを制度化する法案を閣議決定しました。これは、耳の不自由な人でも、テレビ電話による手話通訳を通して通話ができるシステム。24時間365日利用可能なので、110番など緊急時の活用が期待されています。

 そこで今回ご紹介するのは「手話技能検定」。その名のとおり、手話の技能を総合的に評価する検定です。

 それでは例題を見てみましょう。

〈問1〉壁に見立てた左の手のひらに右手の指先を当てる、この手話の意味は【1】交通事故、【2】行き止まり、【3】一方通行、【4】挫折のうちどれ?

〈問2〉右手であごをなでる、この手の動作はある色を表していますが、その色とは【1】黒、【2】白、【3】金、【4】青のうちどれ?

 実際の問題は、「この手の動きはどんな意味でしょう?」というように、映像や写真の読み取り問題がメインとなっており、マークシート式や記述式で回答。級が上がると、手話でのスピーチなどの実技試験もあります。例題の答えは〈問1〉が【2】、〈問2〉が【4】となっています。

 試験区分は7級から1級まであり、私は5級に合格しています。

 勉強法としては、学生時代に英単語帳を暗記したように手話の動作を一つ一つ覚えていく必要があります。また、静止画だけでなく、指文字を含めた一連の動作の映像から内容を読み取れるようにしておくことも大切です。

 手話はジェスチャーさながらに、その由来と関連づけて覚えることができるのが特徴。ちなみに、例題に挙げた「青」の動作は、あごにうっすらと生えた青ひげを意味しているそうです。

 先述したように、一部の行政の窓口だけでなく、ソニー損害保険や三菱UFJ銀行などをはじめ、民間企業でも「手話対応」導入の動きが広がっています。

 しかし、手話通訳の現場は慢性的な人手不足。手話の技能の市場価値は今後も高まっていくと考えられます。

 手話ができれば私生活にも役立つでしょう。例えば会議中、ちょっと離れた席に座る同僚に、

「このあと、ランチでもどう?」

 なんてサインを送ることもできますし、踏切や信号待ちの間、線路や道路越しの友人に向かってメッセージを送ることもできるでしょう。こういうシチュエーションはあまりないかもしれませんが(笑)、一人でも多くの人が手話を覚えて、よりよいバリアフリー社会になることを願ってやみません。

儲かる指数:61

鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600

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