TPP余波…「外国産牛肉」輸入急増で国内畜産業へのダメージは?

 1月30日、財務省が2019年の品目別の貿易統計を発表し、環太平洋連携協定(TPP)の発効国からの牛肉の輸入量が前年比で大幅に増えたことが明らかになった。関税の削減によって安い輸入牛肉が手軽に購入できるようになった一方、国内の畜産業では大きな打撃も懸念されている。
 
「貿易統計によれば、カナダ産牛肉が前年から倍増しており、ニュージーランド産が33.1%増、メキシコ産が16.8%増と、軒並み輸入量が増えています。また、今年1月には日米貿易協定も発効され、アメリカ産の牛肉の関税も削減されることが決まったので、今後はさらに牛肉の輸入量が増えると見られています」(経済誌記者)

 これにネット上では、《最近はスーパーでもカナダ産牛肉よく見かける。こうなると国産は高すぎて手が出せない》《牛肉が安く食べれるのは嬉しいが、国産は相当厳しくなるだろうな》《日本でも大規模経営化していかないとグローバル化した社会の中では競争に勝てない》など、日本の畜産業を心配する声も相次いでいるが…。
 
「牛肉の輸入量はこの10年で約3割ほど増えていますが、昨年は国産牛肉の生産量も増えており、特に和牛が増加傾向にあります。現在、“WAGYU”が高級牛肉として世界的なブームを巻き起こしており、世界各国に輸出されているのです。ここ数年はその量も伸び続けているので、今のところはそこまで心配する必要もないのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 逆に日本では和牛よりも海外産ばかりが出回るという逆転現象が起こる可能性もあるだろう。

(小林洋三)

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